ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

2016-01-01から1年間の記事一覧

自由と共鳴の音楽。 GUIRO「アバウ」について

GUIROの新曲を聴きました。 1日でも早く手に入れたかったけど、最初に流通するのはこれまでGUIROの音源を扱っていたお店だけ、ということで、高速ぶっ飛ばして名古屋オンリーディングへ。 さて、前回の記事で『「日本を代表するバンド、GURIO」というcero高…

cero 「Modern steps tour」@名古屋ダイヤモンドホール

ceroのライブに行ってきました。 思えば私が東京インディーおじさん街道を千鳥足で歩くことになったのも、去年の6月、ここダイヤモンドホールでceroのライブを観に行って、高城さんの「東京インディー物販戦争、ミツメには負けないぞ」というMCがきっかけ。 …

倉内太と彼のクラスメイト 「くりかえしてそうなる」について

倉内太。 オンリーディングで観た植本一子の展示で、図らずもその顔だけはかなり前から知っていた青年。 「誰かと誰かが付き合って、でも誰かのことも好きになっちゃって…」といったアーティストの個人的事情は、スピーカーのこちら側にいる俺には一切関係の…

まだ魔法が解けない。サニーデイ・サービスのライブに行った話。

サニーデイ・サービスのライブからもう2週間近く経つのに、未だ興奮冷めやらない。 ふとした瞬間にライブの場面がフラッシュバックしてついニンマリしたりヨダレたらしたり、あやしい中年の私なんです。 というわけで、あの秋の夜の一部始終を振り返り。 会…

バンドとしてのクライマックス -スカート「静かな夜がいい」について-

相変わらず灰色の濁流に飲み込まれてしまいそうな日々。それでも毎日なんだかんだと音楽のことを考えてるんだから、俺は自分の想像以上に音楽が好きなのかもしれない。つーか、こういう時こそ身に染みるグッドミュージックのありがたさよ…。 そしてきっとそ…

タックスマンと秋の空

先日、遠く離れた実家に住む父が孫、つまりワタシの子供たちに会うため、わが家にやって来た。 彼はいわゆる昭和のカタブツ親父なので、いい歳してロックなどにうつつを抜かす不肖の息子としては、顔を会わせるのが億劫な存在ではあるのだが、彼が残りの人生…

シャムキャッツがなぜモテるのか、わかった気がした日の話

相変わらず新しい職場で悪戦苦闘しております。そこに追い討ちをかけるように上司が失踪。日々の雑務からドロドロの社内政治まで新米のワタシが一手に引き受ける日々。あぁ俺が島耕作なら社長秘書とねんごろになってすべて解決してしまうのに…という妄想が頭…

しめっちまったハートに火をつけたYkiki Beatの話

ようやく訪れた季節の変わり目。過ごしやすい気候になりました。時同じくしてやってきたサラリーマン人生の変わり目。いわゆるひとつの人事異動ってやつですね。新しい環境での処世術を知らないほどワタシも若くはないのですが、今回は野球に例えるなら指名…

ミツメのワンマンライブを観た話。

ミツメのワンマンライブ@池下アップセットに行ってきました。この1時間半を端的に表すならば、"A long day"という作品の異形ぶり、ミツメというバンドが到達した標高の高さとこの先の可能性を強く感じたライブ、といったところでしょうか。デュルッティコラ…

よごれちまった魂で寺尾紗穂の新作を聴いた件

俗欲にまみれた日々を過ごす自分のような人間としては、寺尾紗穂というアーティストはいささか聖的すぎるのでは、というイメージがあり、聴かず嫌いをしていた。しかし、ある方にすすめられて前作「楕円の夢」を聴いてみたところ、案外スモーキーというか、…

金山のブラジルでNRQを観てジャズの大名を思い出した話

NRQのライブに行ってきました。 会場は名古屋ロックの秘境(とワタシが勝手に思っている)こと、金山ブラジルコーヒー。 森道市場ではほとんど観ることのできなかったのでほぼ初めまして状態でしたが、すごく良かった。 例によって音源も聴かずに出かけてい…

カクバリズムの夏祭りで納涼してきた話

楽しかったぜ、カクバリズムの夏祭り。 建物のどこに行ったって、イカした音楽が流れてるんだもん。 いやー最高でしたね。 じゃ。また来年。 と、終わらせるのがひと夏のアバンチュールに対する大人のアティチュードってもの、ということは百も承知。 でもこ…

京都の超新星・台風クラブを目撃した話

今年の春、スカート澤部氏がMステに出演したその日、初めて訪れたココナッツディスク吉祥寺で入手した台風クラブの3曲入りCD-R『ずるやすみ』。 もちろん名前も知らないバンドだったけど、そのバンド名と、手書きPOPの熱さに誘われて手を伸ばしてみたのだっ…

存在しないはずの最高傑作。 サニーデイサービス『DANCE TO YOU』

ジャケットを飾る永井博のイラストさながらの8月の眩しすぎる日差しの中、サニーデイサービスの新作「Dance to you」を聴きながら、時計の針を2000年12月14日に戻してみる。 あの冬の日、新宿リキッドルームでの解散ライブを見届けた22歳のドリーミー青年に…

宇壽山貴久子・西村ツチカ「Left to Right, Right to Left」展に行ってきた話

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS にて、宇壽山貴久子と西村ツチカによる「Left to Right, Right to Left」を見てきました。宇壽山さんが暮らしていたニューヨークの地下鉄の乗客を撮った写真「Subway」シリーズと、その写真をもとに西村ツチカさんが描いた…

Yogeeとネバヤンの2マンを観に行ったダメな私

心は若者のつもりでも、忍び寄る年波には勝てないお年頃・38歳のワタシ。週半ばの深酒によるダメージを負った身体をダラダラと引きずって土曜日のライブハウス・得三へ。今をときめく若手バンド・Never young beachとYogee new wavesの2マンを観るのだ。開演…

新しいクラシックの誕生 ミツメ"A long day"

学生時代、テトリスに没頭していた時期がある。電車やトイレ、部室に教室、起きている時間のほとんどを費やしたあげく、くそ暑いテントの中で自己最高得点を記録したことは、決して誰とも共有できないフジロックのいい思い出。ミツメの新作"A long day"を聴…

スカートVS曽我部恵一!世紀のタイトルマッチを観た話。

スカートと曽我部恵一の共演。それは私にとって、モハメド・アリVSアントニオ猪木戦にも匹敵するビッグイベントと言っても過言ではない。と同時に、このシンガーソングライター頂上対決において、どちらも無傷というわけにはいかないのではないか…という一抹…

関美彦のライブを見たことがあるかい?

関美彦というミュージシャンの名前は、熱心なサニーデイサービスのファン以外にはあまり知られていないかもしれない。 私がその存在を初めて知ったのは、曽我部恵一が99年に発表した"昨日、今日、明日"という本の中に収められたエッセイ。 住んでいたアパー…

VIDEOTAPEMUSIC奇譚 「存在しない映像の世界について」

すでにその役割を終えて久しいビデオホームシステム、略してVHSは、約30年に亘るそのライフサイクルにおいて、9億台のデッキと300億本のテープが生産されたとされている。そんな人類の残した膨大な遺産(正か負は知らない)のコラージュによって音楽と映像を…

俺たちはサニーデイサービスを卒業することができない 。"東京"20周年記念ボックスについて。

サニーデイサービスの名作"東京"のリリース20周年記念ボックスセットが届いた。 何を隠そうレコードプレーヤーを持っていない私でありますので(ついでに言うと運転免許もAT 限定だ)、「待望のアナログ化」「〇〇周年記念ボックスセット」「レコードストア…

Chocolat & Akito meets Mattson2 @K.Dハポンに行ってきました

※一部セットリストが含まれてますChocolat & Akito meets Mattson2のライブに行ってまいりました。「名古屋、チケットがまったく売れてない」と5/1リゾームライブラリーの時に片寄氏がおっしゃっていたのでずいぶん心配していたものの、会場のK.Dハポンは満…

世界の終わりとハードボイルド天声ジングル! 相対性理論の新作について。

「天地創造あきらめて あれから世界はどうなった」 という問いかけから始まる相対性理論の3年ぶりの新作"天声ジングル"。 一聴すると、ポップミュージックの聴覚的快感を突き詰めたサウンドは今まで通りに健在で、さらにそこにロックバンドとしての生々しい…

子連れでロックする方法。森、道、市場2016に行ってました

今年も家族全員で森道市場に行ってまいりました。毎回、俺が飲みすぎたり酔っ払ったり泥酔したりする鬼門の野外フェスですけど、今年は無事に帰ってくることができたので、二日間の行程をゆるく(しかし内心ドヤ顔で)記録しておきます。<一日目>今年は時間…

Alfred Beach Sandal主催 Groove comedy Vol.3に行ってきました

アルフレッドビーチサンダルが主催のイベント"Groove comedy Vol.3"に行ってきました。おやじ狩りを警戒しながらセンター街をくぐりぬけ、渋谷wwwに潜入。お出迎えしてくれるDJはcero高城氏。なんせ大人気バンドのフロントマンですから、女の子がブースを取…

大海原を旅するような。Guiroのライブについて。

どういう運命のイタズラか、38回目の誕生日に、もう完全に諦めていたGuiroのライブを観ることができた。依然としてGuiroの音楽を形容する言葉を持たない私だけれども、この日のライブがどういうものだったのか?と聞かれれば、一言「大航海」とだけ言い切っ…

D.A.N.のデビューアルバムを聴きました。

www.youtube.com 最初にはっきりさせておきますが、このバンドのメンバーがまだ22歳とかいうハナシ、俺はまったく信じてませんからね! と、言いたくなるほどの、洗練された色気とオリジナリティ。 「ダンスとロックの垣根を超えた」という音楽は数あれど、…

リゾームライブラリーに行ってきました

図書館を会場にした音楽フェス、リゾームライブラリーに行ってまいりました。 何を隠そうこの会場、ワタシの家からその気になれば歩いていけるような場所にありまして。 こんな何もない田舎の街に、GREAT3、スカート、ミツメ、ネバヤンetc.が来てくださるな…

現代を生きる一人ぼっちのための、心優しいブルーズ。スカートの最高傑作"Call"について。

キテる!キテるよ、澤部君!!と、知り合いでもなんでもないのに背中をバシバシ叩きたくなるような全国的なスカートフィーバー。ワタシのようなにわかファンでもこんなに盛り上がってしまうのだから、長年応援してきた皆さんの気持ちたるやいかに、と言った…

めくるめくGuiroの世界にようやく辿り着いた話。

twitterで知り合った方から教えてもらったGUIROの音楽を初めて聴いたのは、家から駅までの道のりだった。iPhoneに繋がったイヤホンを通ってまず耳に飛び込んできたのは、美しいブラジル音楽を思わせるギターと、男女のハーモニー。なるほど、こういう高級で…