楽しかったぜ、カクバリズムの夏祭り。
建物のどこに行ったって、イカした音楽が流れてるんだもん。
いやー最高でしたね。
じゃ。また来年。
と、終わらせるのがひと夏のアバンチュールに対する大人のアティチュードってもの、ということは百も承知。
でもこっちはなんでもメモしないと記憶が劣化してしまう無粋な中年男性なんでね、ざざっと書かせてもらいますよ。
ギラギラ太陽が照りつける東京シティをくぐり抜け、まず観たのはあだち麗三郎カルテット。
いやいやなんですかこれ。
どことなく懐かしさを感じさせる土着感のあるリズムと洒脱なコード感、夏の原体験を呼び覚ますような歌声。
どこか架空の都市に伝わる音頭のよう。
ひょっとして俺はここで、風街の続きを観ているのかもしれない、なんて思ってみたり。
暑い暑い夏の日に、暗い洞窟で見た白昼夢。
素晴らしかったです。
長居するつもりはなかったのに、まるで金魚が泳ぐ水槽の中にいるようなドリーミー感にやられてしまい、そのまま最後まで見てしまった。60'sでガーリーなギタポ、というありきたりな形容詞では片付けられない中毒性を感じました(そして振り返るとスカート澤部氏の姿も)。
で、HeiTanakaをチラッと見て(大都会のライブハウスで小鳥美術館の牧野館長の姿を見ると安心するわ…)、川辺ヒロシがDJやってるのを見るのは新宿カタリスト以来ということに気づいたり、会場中の至るところで見かけるやけのはらは本当に音楽好きなんだなとか思っているうちに、ついに澤部渡率いるスカートが登場。
サウンドチェックの"Fly"から一曲目の"回想"、"Call"の怒涛のオープニングを聴いてブチ上がると共に、SMAPの新作に楽曲を提供すべきはこの人だったよな、とシミジミ。
せめてスマスマで、キムタクが"回想"を『ま・る・で』って首を振りながら歌ってくれないかな…(でもまだMステはあるし!)。
しかし、この日の澤部氏のボーカルは伸びやかで男前だった。
一切の留保なく、スカートってのは本当にかっこいいバンドなんだぞ、と強く言い切ってしまいたくなるような力強さ。
こんなバンドをこんな大きな会場でこんな大勢の人たちと観れる幸せ。
さすが東京、さすがカクバリズム。
でも、澤部氏のMCは名古屋でも東京でもカチコチなのね、という事実も妙に嬉しかった。
それにしても佐藤優介氏がこの日弾いていたキーボードの異常な小ささ。それでいてプレイは素晴らしいというか、むしろいつも以上に手数が多かった気がするし。一体彼は何に挑戦しているのだろうか…。
なお、達郎殺し(と勝手に私が思っている)の新曲のタイトルは「静かな夜がいい」だそうです。リリースを震えて待ちます。
で、その後はがっちりミツメを観る予定だったんだけど、高田漣とかぶってまして…。
ミツメの感動は来月のワンマンにとっておくということで、KATAに移動。
そんなわけで初めて観る高田漣。
「ギターの弦は硬い」という厳然たる事実を忘れてしまうほど柔らかに奏でるギターに衝撃&感動。
パーティーの喧騒から離れ、線香花火のような、優しい時間が流れておりました。
ステージ狭しと並んだビッグバンドは総勢20人くらい。
こんなチケット代でいいのかしらというゴージャス感、本物のエンターテイメント感。
しかしどんなに華やかなバンドを背負っても、今をときめく「カクバリズムで一番稼ぐ男」こと浜野謙太が飛び入りしても、常にステージの主役として一番輝いてしまう二階堂和美のシンガーとしてのスキルとパワー、太陽のような人間力。
美空ひばりってこんな感じのオーラがあったのかな…と。
こういういわゆるインディーミュージックの枠を超えたアーティストをがっちりサポートしてるカクバリズムにも一人の社会人としてマジリスペクト。
次のアルバムはライブが収録されたというDVDの方を買おうと心に決めた次第。
まだまだ宴は続きます。
しかしもうかなり疲労困憊、足もパンパン。
ビールとアジフライでエナジーチャージしてLittle creaturesを。
彼らのライブを観たのは大雨の森・道・市場以来二度目。
ミニマルだけど濃厚、クールだけど扇情的。
百戦錬磨の大人のポストロックにシビれる。
特にラストの"Mosquit garden"、"House of piano"、ど迫力の名曲2連発ではもう動かないはずの私の両脚が勝手にステップを踏むという真夏の怪奇現象まで発生。怖いですね…。
夜も更けてきました。
最後のVideotapemusicのライブまでなんとか観たかったんだけど、体力の限界&実家に預けた子供が気になり、YSIGの"Super soul meetin'"を聴いて感無量になったところで会場を後に。
ワタシに東京インディー道を教えてくれた方々にも会えたし、夏祭り感ハンパなし。
いや楽しかった。
来年も行けるといいな。