
※一部セットリストが含まれてます
しかし、Mattsonツインズの来日からわずか2日のリハで、あのガラス細工のようなバランスのアルバムを再現できるものなのか。
そのハードルの高さは素人のワタシでも容易に想像がつくというもの。
しかもここはお客さんとの距離がゼロのハポン。絶対にごまかしのきかない環境。本当に大丈夫かしら。
そんなこちらの老婆心のせいか、"Nothing to fear"からスタートした序盤は、演奏が少しナーバスというか、やや心許なく聴こえる瞬間も。
でも同時に、アルバムにはないガレージ感と繊細さが同居したザックリとした手触りとか、一つの曲の中で4人の個性がくっついたり離れたりする様がなんともユニーク。いい意味でストレンジなポップス。
アルバムでは少し高尚にも思えた彼らの音楽が、愛嬌のある表情で近づいてくれた気もした。
MCを挟んで(今回はお約束の頭髪ネタも滑らず)、Mattsonツインズもリラックスできたのか、4曲目(たぶん)の"Velvet in room"から演奏が明らかにぐっと引き締まる。
この演奏の生き物感は初日にしか味わえないものかもしれない。
そしてMattson2の演奏はもちろん初めて観たわけですが、これがなかなかの衝撃。
双子の弟が叩くジャジーで手数の多いドラム(そしてダイナミックなオカズが印象的)の上に、同じくジャズからフュージョンから始まって、ロックからニューウェーブまでを行ったり来たりする兄のバカテクギターが乗っかるわけだけど、これがもう一小節先すら予想もできない自由奔放さ。
こんなジャムセッションの上にメロディを乗せるなんて、片寄夫妻はさぞ大変だっただろうなと思いつつも、いつまでも聴いていたい、観ていたいと思わせる力を持った演奏だった。
(そしてお客さんから拍手をもらった時の笑顔が実にチャーミング!)
このMattson2二人だけの演奏から、四人でやった"Earland"に繋がるインスト3連発がこの日の個人的なクライマックス。
お客さんとミュージシャンが、お互いの熱を交換し合うような特別な時間だった。
この一体感はやはりこの会場ならではかもしれない。
思わず盛り上がってしまった中年ファンの私ですが、これがもともとMattson2とやるためにあるんじゃないか?というハマり具合。
片寄氏の豊富な音楽的なアイデアを凝縮したカラフルな楽曲を一層引き立てるMattsonツインズの目まぐるしくある演奏。
特にジャズをプレイするジョニー・マーようなギターが最高だった。
というわけで、当初の心配は杞憂に終わり、世界中で今日ここでしか鳴らない、まさに一点モノの音楽を聴けたぞ、という充実感を胸に会場を後にしました。
多分、明日以降のライブはもっと良くなっていくだろうな、という確たる予感も。
唯一残念なことと言えば、物販であの最高にオシャレなポスターを入手できなかったことくらい。
早めに確保しておけばよかった…。