ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

2021年7月の話(未来の人へ)

TURNの取材で曽我部恵一さんにインタビューさせてもらった時に言われた「今、25歳に戻してあげるって言われても嫌だな。あの頃はもっと無礼だった。今は昔より純情だし、もっとけがれなく世の中のことを見ている」という言葉が強く自分の中に残っている。初…

森道市場2021に行った話

今年も森道市場に行きました。娘が期末試験の勉強してるのに毎日遊びに行くのは気がひける…と思っている間に土曜日のチケットは売り切れてしまったので日曜日だけ。 緊急事態宣言が延長された時はもう開催は無理かも…と思ったけどやってくれました。でも、換…

Moment Joonの配信ライブを観た話

人生40年も生きていると「あの時観ておいて良かったな」と後々まで語りたくなってしまうようなライブがいくつかある。5月28日に行われたMoment Joon初のワンマンライブは、(配信だけど)間違いなくそういうものであったと思う。 Moment Joonは韓国出身・大…

ミステリーサークルとbandcamp friday(東郷清丸とスカート)

美容院に行った先週末、後頭部に小さな穴を発見。いわゆる円形脱毛というやつ。思いあたる原因はコロナ以降の不条理な不遇しかない。俺は毛根までふがいないのか。しばし呆然。 5/7のbandcamp friday で入手した東郷清丸の新曲集『GOLDEN SONGS WEEK ‘21』は…

最近行ったライブの話(21年春。サニーデイ、SAGOSAID 、PALE BEACH)

去年はほぼ自粛していたライブハウス通いを再開させている。 事実上の営業禁止を強いられている音楽産業の苦境をただ眺めることと、可能な限りの感染対策をした上でライブに足を運ぶこと。そのどちらが罪深いことなのかを裁くことはもう不可能だと思うので、…

小崎哲哉「現代アートを殺さないために」を読んだ話

あいちトリエンナーレに端を発した大村愛知県知事の不正リコール問題。たぶん一般的には「うさんくさい医者と怪しげな政治家による度を超えた悪ふざけ」くらいの感覚なのかもしれない。 しかし私は、これは2000年代以降の日本社会に流れる三本の暗い濁流が重…

横尾忠則「GENKYO」を観に行った話

横尾忠則の作品はそれこそ物心ついた頃からあらゆるメディアで目にしていたが、あまりのビッグネームだからか、あるいは私の脆弱な感性のせいか、その表現にちゃんと向き合うことなくこの年まで生きてきてしまった。「アングラ」「スピリチュアル」という彼…

”田中ヤコブと家主” @wwwの配信ライブを観た話

例によって配信最終日に駆け込みで田中ヤコブと家主のツーマンライブ@渋谷wwwを観た。もう最高すぎてその晩のうちに二回も再生してしまいましたよ。 最初は田中ヤコブのエレキ弾き語りソロ。今のところ唯一のヤコブ体験はちょうど2年前の今ごろ観た「うたの…

猫の日。

海に行くつもりじゃなかった。 もとい。 猫を飼うつもりじゃなかった。 子供の頃から猫アレルギーだし、何を考えているのかよくわからない雰囲気もちょっと苦手だったし。 小学生の頃から就職で家を出るまで、実家で犬を飼っていた。コロという名前の白い雑…

私を遠くに連れてって

24歳の時に初めて車を買って以来、7台目となる車がやってきた。それまで乗っていたランクル100を、反社会的な燃費と反家計的な税金に耐えかねて売却。そのお金で買ったBMW320のワゴン。国道沿いの激安ショップに並べられていた8年落ちの中古である。軽自動車…

「土曜の午後 日曜の朝vol.2」で関美彦のライブを観た話

1/30、1/31に行われた「土曜の午後 日曜の朝vol.2」というイベントでの、関美彦さんのライブが配信された。しかも北山ゆう子、伊賀航というスーパーリズムセクションを率いたバンドセット。まさに私が夢にまで見たやつじゃないですか…。これは最高のコンディ…

文部省著 「民主主義」を読んだ話

敗戦直後の1947年に出版された中高生向け教科書。「文部省著」とあるので当時の官僚が書いたものだが、現代では考えられないくらい踏み込んだ筆致に、二度と軍国主義に戻さないという決意と良心を感じる。とても公の文章とは思えない体温がある。 例えば「熱…

佐久間裕美子+若林恵「こんにちは未来」を読んだ感想と仕事の愚痴

帰省もできないこの冬休みには絶対に本を読もうと決めて、かなり前にON READINGで手に入れてあった佐久間裕美子・若林恵「こんにちは未来」の3冊セットを一気に読み、とても刺激を受けた。 お二人の会話をまとめたこの本には、何か明確な結論が書いてあるわ…

スカート「アナザー・ストーリー」を聴いて思ったこと

スカート「アナザー・ストーリー」のフラゲに失敗した私が自分を慰めるために思いついたアイデアは「アナザー・ストーリーと同じ曲順でオリジナルバージョンを並べたプレイリストをつくる」という作業だった。 いつもならSpotifyでチョチョイとつくるところ…

2020年12月22日 サニーデイ・サービス ライブ@今池ボトムライン

今この文章が世に出ているということは、この日のライブで私はコロナに感染することは(おそらく)なかった、ということである。それが分かるまではどうしても「サニーデイのライブいってきました!」と大きな声では言えない後ろめたさがあった。そんな後ろ…

サニーデイ・サービス 『もっといいね!』

あれ以上も以下もない、何人たりとも立ち入ることのできないピュアネスだけで作り上げられたロックアルバム「いいね!」。それがまさかリミックスアルバムとして解体・再構築されることになるとは思わなかった。 参加したリミキサーはまさに多種多様。岸田繁…

リ・ファンデ『HIRAMEKI』にまつわる私的な記録

リ・ファンデ『HIRAMEKI』がリリースされた。最大限冷静かつ客観的に見たとしても、同じ日に出た田中ヤコブと並んで、ポップミュージックの一つの基準になるような名盤、と言っていい作品だと思う。 open.spotify.com ちょうど一年ほど前、リ君に連絡をもら…

スカート 、トリプルファイヤー、ミツメのライブを2日で観た週末の話。

「月光密造の夜」が私の生き方をもんのすごく深いところからひっくり返してしまった…という話はもう何回目だよってくらいにしているので詳しいことは割愛するとして、スカートのデビュー10周年を飾る「真説・月光密造の夜」もあわよくば東京まで遠征してやろ…

イノセントとドキュメント。サニーデイ・サービス「いいね!」

2020年3月18日。世界中を覆う黒く分厚い雲に一筋の光を差しこみ、新しい季節を招き入れるようなサニーデイ・サービスの新作が届いた。連日の残業でボロボロになっていた俺は深夜に一聴するなり、この作品が放つ生命力の眩しさについ涙をこぼしそうになってし…

革命から疎外された者の目線から GEZAN「狂(KLUE)」について

ファシストと革命家。一見、対極の存在に思える両者だが、本質的には同義だ。彼らがシンパシーを寄せる対象が、ピラミッドの上部に君臨する特権階級か、底辺で暮らす弱者であるかという違いはあれど、誰かから何かを奪うことをいとわない暴力性や、頂点と底…

思い出野郎Aチームのパーティーに行った日

思い出野郎こそが日本一のパーティーバンドである。もうそう言い切ってしまっていいだろ、と言いたくなる最高の夜だった。 それはただごきげんな音楽でオーディエンスを盛り上げるということだけじゃない。ソウルミュージックというものが、パーティーという…

植本一子『台風一過』を読んだ

ようやく夏が去ってくれそうな気配が感じられた日曜日の夕方、家族で名古屋へ。ON READING で濱田紘輔さんの写真を受け取る。ちょうど3ヶ月ほど前、家族四人でわちゃわちゃ言いながら選んだ一枚。アメリカ西海岸を旅しながら、コインランドリーの風景を切り…

夏休みのこと 〜曽我部恵一・さとうもか・SAGOSAID ・あいちトリエンナーレについて〜

今年の夏休みは下の娘が定員オーバーで学童に入ることができなかったため、祖父母の力も借りつつ、私と妻が順番に仕事を休んで(あるいは家で仕事をしながら)学校と塾の宿題、自由研究、読書感想文、部活の送り迎えなどをやったりやらせたりしなければなら…

ロロ「はなればなれたち」とはなんだったのかを考える

さる6月29日、吉祥寺シアターにて劇団ロロの公演『はなればなれたち』を観てきた。 なんといっても私の観劇はこれで3回目、しかも過去2回はいずれもロロ。それでいてロロの劇団史にも詳しくない…という感じなので、今から書くことはまったくあてにならない、…

森道市場2019に行ってきました

今年も森道市場に行ってきました。 しかも三日間。 おかげで今は肩が、背中が、首が、もうガタガタなんですが(前の日記で「老いを感じない」などと書いた罰か)執念で備忘録を残しておきたい。 初の金曜開催となった1日目。 とりあえず、涼しい・空いてる・…

5月のこと。

この5月で41歳になった。 若い時にイメージしてた40代というのは、首まで砂風呂に埋められた人のように、仕事とかローンとか体力の低下とか、ほとんど身動きの取れない生き物であり、そしてたぶん実際はその通りのはずなんだけど、のしかかった砂の重さをや…

火の玉のゆくえについて 台風クラブ「火の玉ロック」

「うたのゆくえ」の余韻も未だぼんやり心に残る中、京都から台風クラブの「火の玉ロック」の7インチが届いた。 新曲のタイトルがジェリー・リー・ルイス往年のスタンダードナンバーと同じと知った時から、これはきっと広大なハイウェイを全速力でブッ飛ばす…

第二回うたのゆくえ(二日目)に行ってきました

地方分権のかけ声も今は昔、政治も経済も東京への一極集中の度合いを高めまくってる現代の日本。 しかしポップミュージックの世界においては各地方をベースにしつつも、活動全国区で活躍するミュージシャンやレーベルが目立つ。 その背景には在京メジャーレ…

そして人生は回る。 さとうもか「Merry Go Round」について。

老若男女を問わず聴く者すべての心を奪う名曲ばかりがずらりとならんだ、さとうもかのデビュー作「Lukewarm」。 待ちに待ったセカンドアルバム「Merry Go Round」は、あのつい口ずさみたくなる親しみやすさはそのままに、より深い感情が刻み込まれた楽曲が13…

Lee & Small Mountainsのラストライブを観た話。

リースモの音楽とは、キリンレモンである。 さわやかな甘さとほのかなすっぱさ。それでいてパンチのある炭酸が効いていて。なによりも、いつ飲んだって絶対に美味しい。 あまりにもさりげなく、優しい面持ちでいてくれるものだから、刺激的なコピーを引っさ…