ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

2017-01-01から1年間の記事一覧

The Wisely brothers 「HEMMING EP」を聴きました

今年に入ってから、SaToAやShe saidにGo-Gosなど、新旧を問わず、女性ボーカルのイカしたバンドの音源を耳にする機会が多い。 中でもThe Wisely brothersのデビュー作「ファミリー・ミニアルバム」を聴いた時の衝撃はデカかった。 「予期せぬ妊娠」というテ…

IMAIKE GO NOW 2017に行ってきました

今年もやって来ました、悪い大人のネバーランド・IMAIKE GO NOW2017。 「パン屋じゃない、日本人なら和菓子屋だ!」とおかみから怒られる時代に、真昼間からライブハウスをハシゴしてロックンロールを聴きまくろうというのだから、なんたる非国民の集まりか…

シンクロニシティの肯定  サニーデイ・サービス(とラブリーサマーちゃん) 「桜 SUPER LOVE」について

「君がいないことは 君がいることだな」 愛する人の不在、その受容と再出発を、たったワンフレーズで表現しきってしまった名曲が、桜の咲く季節に届いた。 長き不在の続く岡崎京子のイラストを大胆にあしらった、ピンク色のジャケットに包まれて。この意表を…

まともがわからない。  こだま著「夫のちんぽが入らない」について(ややネタバレあり)

夫のちんぽが入らない 作者: こだま 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2017/01/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (16件) を見る 「夫のちんぽが入らない」を読みました。 この本の良さは、夫のちんぽが入らないというセンセーショナルなカミングア…

「松倉と勝と光永と継吾」とTRIOLLIのライブを観た話

今年二度目の金山ブラジルコーヒー。「松倉と勝と光永と継吾」のライブを観に。 去年観たceroのライブで光永渉氏のドラムにいたく感動した私。その光永氏と共にAlfred beach sandalをサポートする岩見継吾氏もベースで参加するバンドがやって来る。しかも対…

さよなら、ムッシュ

ムッシュが逝ってしまった。 高校生の頃に「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を初めて聴いて以来、 「何かに凝ったり狂ったりすればするほど、君は一人の人間として幸せな道を歩いているだろう」 というムッシュのメッセージはいつも心のどこかに生き続け…

小沢健二「流動体について」について

小沢健二のファーストアルバム「犬は吠えるがキャラバンは進む」は間違いなく俺の人生で最も再生回数が多い作品。 15歳の時にリリースされたこの作品に、俺の思春期は救われた、と断言してもいい。 だから、なのか、しかし、なのか。 「LIFE」以降のオザケン…

音楽の本質とはこれいかに? スティーブ・ウィット著「誰が音楽をタダにした?」

「誰が音楽をタダにした」を読みました。噂に違わぬおもしろさでした。 音声圧縮技術であるMP3の開発者、世界最大のレコード会社のCEO、そのレコード会社のCDプレス工場で発売前の新譜を違法アップロードし続ける労働者。 この三人の視点から、ゼロ年代の音…

研ぎ澄まされた言葉たち ECD「何もしないで生きてらんねぇ」

ECDの「何もしないで生きてらんねぇ」を読んでいる(発売日に買った植本一子「家族最後の日」は妻に取り上げられてしまった)。 曽我部恵一、寺尾紗穂、鴨田潤。そして最近では澤部渡もそうだったのだけれども、素晴らしい文章を書くミュージシャンはたくさ…

土岐麻子「PIINK」に大人の本気を感じた件

土岐麻子の新作「PINK」が素晴らしい。 思えば、これまでの彼女の作品には、ハイクオリティーかつ、いい意味での余裕と言うか、あらかじめ消費されることを想定した余白のようなものが準備してあったように思う(それがシリアスすぎる音楽ファンとの距離感に…

エリザベス・ペイトンを観て岡崎京子のことを考えた日の話

先週の土曜日、スカートのライブに先立って、ちょうど原美術館で開催されていたエリザベス・ペイトン展に行ってきました。 何年も前から画集を買うかどうか定期的に(Amazonとかでオススメされるたびに)迷っていたアーティストなのです。 会場には人物画を…

宇宙・日本・渋谷WWW スカートワンマンライブに行ってきた話

愛知県からはるか300キロ、スカートワンマン@渋谷WWWに行ってきました。 どうしてもこの日のワンマンだけは観ておきたかったのだ。 その理由はいくつかある。 このところのどうしようもなく退屈な生活を生き抜くための希望が欲しかったこと、最新作「静かな…

トヤマタクロウ DAYS GONE展に行った話

16年のアート納めは、風邪でボロボロの身体を引きずって訪れたトヤマタクロウの写真展「Days gone」でした。 トヤマ氏と言えば、一昨年の夏、初めてミツメのCDジャケットを見た時からずっと気になっていた写真家。 今回の展示はまさにそのミツメと一緒に回…

体温のある歴史 寺尾紗穂著 「南洋と私」

2016年における数少ない後悔の一つが、名古屋であった寺尾紗穂のライブに行けなかったこと。 今年はチャンスがあるかしらと思いつつ手に取った「南洋と私」。 日本統治下のサイパンで繰り広げられた日米の戦争について、当時サイパンで暮らしていた人々の証…

2017年一発目のライブはトリプルファイヤー@金山ブラジルコーヒー

矢野顕子の深く荘厳な世界に浸った後、駆け足でトリプルファイヤーのライブへ。 なんたる落差。 会場は金山ブラジルコーヒー。 知る人ぞ知る名古屋インディーロックの殿堂である。 とは言え、基本的な構造は普通の喫茶店であり、ライブハウスのような爆音PA…

極めて不親切にして、極めて贅沢な。 矢野顕子主演「SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女」

極めて不親切な映画である。 そこがどこで、何をしているのか一切の説明もない。 一人の女が、ピアノを弾いてはやめて、歌ってはやめる姿が延々と映し出される、ただそれだけの90分。 女以外の登場人物もいないわけではない。 しかし、おそらくその世界では…

布団の中で考えた。 牧村憲一著『「ヒットソング」の作りかた』

あけましておめでとうございます。 昨年末はまさに仕事納めの日に熱を出して、風邪ひくタイミングまでサラリーマンかよ…と力なく自分に突っ込んでおりました。 でも本が読めないほどの体調ではなかったので、布団の中で牧村憲一著『「ヒットソング」の作りか…