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エリザベス・ペイトンを観て岡崎京子のことを考えた日の話

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先週の土曜日、スカートのライブに先立って、ちょうど原美術館で開催されていたエリザベス・ペイトン展に行ってきました。

 

何年も前から画集を買うかどうか定期的に(Amazonとかでオススメされるたびに)迷っていたアーティストなのです。

 

会場には人物画を中心に42枚の作品が展示されていたわけですが、美しい色使い(特に青と緑が素敵)が、晴れた原美術館の建物によく似合うことよ。

 

この個展を観るまでは、この人は油彩という古典的な手法でロックスターの肖像画を書くというユニークさが評価されているものだと思っていた。

 

でも、今回展示されていた作品のモデルは、カート・コバーン、ピート・ドハーディーといった現代のセレブだけではなくて、中世の貴族や寓話の登場人物までと幅広く、そしてそれらを描く手法も、古典的な油彩、水彩をベースにしつつ、モダンアートやアニメの影響なども感じさせるものだった。

 

そうしたスーパーフラットな批評性が貫かれた作品には、それぞれ人物が生きた時間的・空間的なギャップを感じさせない普遍的な美しさや気品、かすかなユーモアが宿っており、さすが(俺でも名前を知っているような)世界的な作家は違うものだなと思いました。


そして、作品をじーっと眺めているうちに、なぜか自分が岡崎京子のことをチラチラと思い出していることに気づいた。

まったく見当違いかもしれないけれども、この二人の作家に共通するものを感じたのでしょう。

 

例えば、従来の絵画・漫画というフォーマットの外側にあると思われていたサブカルチャー方面の文化遺産を取り込んで表現してしまう自由な感性と技術の高さ。
そして作品を重ねるごとにスタイルを変化させ、シンプルに本質へ迫っていくような凄みが増していくところも、似ていると言えるかもしれない。

 

でも私が一番強く感じたのは、自分が描こうとする対象(モデルやテーマ)に対する、ほとんど無邪気なほどにまっすぐで強い愛、でした。