なんせ何をやっても騒がれる2015流行語大賞受賞者。
と、まるで親戚のオジサンのような気持ちで(もちろん赤の他人)、聴く前は妙にドキドキしてしまった。
が、しかしそんな見ず知らずのオッさんの余計な心配をよそに、政治や社会に対する憤りや主張を、イキイキと中指立てながらラップしまくってるんだから、このお兄ちゃんはホント最高だわ。
こういう半径5mのリアリティ、つまり自分の言葉で権力や不正を喝破する、「ヒップホップのCNN的機能」って、ありきたりなようでいて日本ではあまりお目にかからない気がするのは、私がヒップホップってものを知らなさすぎるだけ、なんだろうか。
ラッパーとしてのスキル云々はさておき、新鮮な感じがしました。
そしてそんなUCDの天真爛漫な(かつ、ちょっと頼りない)ラップを支えるバンドの音はどこまでもクール、という対照的な組み合わせも、個人主義の香りがしていいな、と。
いずれにせよ、パーティーで生演奏されたら盛り上がること間違いなし、のバンドであります。
とは言え彼らの音楽を、(おそらく主たる引用元である)The Roots、ディアンジェロ、ブルーハーブにNIPPSのような、"いわゆるホンモノのヤツ”や、ceroやPumpeeと言った、若きインディーブラックミュージックの旗手と比較してしまえば、あっという間に減点の山が積み上がってしまうことは、さすがのワタシも分かっております。
そうした「正しい音楽鑑賞」に適した音楽では(まだ)決してありません。
このバンドは、このローファイぶりが清々しいジャケット、7曲で1000円という価格に象徴される、DIY精神と初期衝動に貫かれた、ハードコアバンド的文脈で聴かれるべきもの、ではないかと。
言いたいことも言えないこんな世の中だけど(POISON)、ムカつくことにはムカつくと言いたいし、かっこいいことは自分でもやってみたい。
だからとりあえず言ってみた、やってみた、という風通しの良さ。
見習いたいと思います。