ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

20年後の現在地。 サニーデイサービス"苺畑でつかまえて"

f:id:dreamy_policeman:20160128214833j:image
 

昨年末のツアーの余韻が濃厚に漂う中でリリースされた、サニーデイサービスのニューシングル"苺畑でつかまえて"。

 
 
 
小田島等画伯による最高に鮮やかで愛らしいジャケットに包まれた2曲はいずれも、スピーカーから流れ出した瞬間から、目の前の世界すべてにソフトフォーカスをかけてしまう名曲。
 
 
 
しかし、歌詞カードを片手にもう少し聴きこめば、この2曲合わせてたった10分強という短い時間で、サニーデイサービスというロックバンドの、20年の来し方を表したかのような、濃密な世界が広がっていることに、きっとキミは気づくハズ。
 
 
 
A面の"苺畑でつかまえて"では、ストロベリーフィールズを今でも夢見心地で追い求めてしまう、ロックバンドの永遠の高揚感、夜の風景が。
 
B面の"コバルト"では、少しブルージーなギターに、パーティーが終わった朝の現実感をまとった言葉が絡まりながらも、この旅を、この三人で、これからも続けていくという静かな覚悟が描かれている(気がする)。
 
 
 
実際のところ、この2曲が、サニーデイ自身のことを歌っているかどうかなんてわからない。
 
年末のツアーに不参加だった丸山氏の名前がクレジットされていることが(後日注;この時はそう思ったのです…。どうか早い回復を)、こちらの勝手な感慨をかき立てているだけかもしれないし。
 
 
でも、往年の名曲"サマーソルジャー"を彷彿とさせる"コバルト"の、スケールの大きなサビで、
 
「愛したメロディ持って 酸っぱいキャンディ舐めて 忘れ物でも探しに行こう」
 
あるいは、
 
「笑えないジョーク言って 生きていればねなんて 深い深い青を見に行こう」
 
 
なんてフレーズを歌い上げられてしまったのだから、見当違いの想像力が飛躍してしまったとしても、さほど重い罪に問われることはなかろう。
 
 
 
そう、サニーデイサービスは未だ長いロードムービーの真っ只中。
 
永遠の夜を追いかけて、淡々しい朝を迎える。
この繰り返し。
どこにも辿り着かない。
光と影、夢と現実、あるいはそれらが一体になったもの。
そんな世界に生きている。
 
 
そう考えると、この2曲がアナログ 7インチという、裏と表に一曲ずつが刻みこまれたフォーマットでリリースされた理由も、なんとなくわかる気がするんだ。