高学歴かつ男前。
本を出したり絵を描いたりCD出したり総理大臣になったり。
天から与えられた二物三物を闇雲に振り回し続けている坂口恭平という人には、一物にも恵まれなかった同い年の人間として、(図々しくも)若干の嫉妬と、(失礼ながらも)いささかなの胡散臭さを感じながら、興味深く、かつ遠巻きに眺めていた。
しかしある時、ワタリウム美術館で初めて彼の絵を目にした瞬間、ざわっと鳥肌が立つ感覚に襲われ、やっぱこの人は天賦の才に恵まれすぎた人なのかもしれないと思い、ますますこの謎めいたキャラクターに興味がわいてしまったのです。
よって今回はライブを観ると言うよりは「坂口恭平とは何者か」ということを確かめてやるぜ、という謎の意気込みで会場の金山ブラジルコーヒーに向かった。
入店前にSNS用の写真を撮影しようとスマホを看板に向けてシャッターボタンを押した瞬間、「ワッ!!」という大きな声と共に誰かに背中を押された。
写真がブレてしまったことと、いい年してインスタ映えを狙った写真を撮る姿を見られた恥ずかしさから、若干のいら立ちを覚えながら後ろを振り返ると、そこには知り合いでもなんでもない、坂口恭平本人の邪気のない笑顔が。
「今日、満員だけど大丈夫?入れる?」と彼は長年の友人ような口調で聞いてきたのでつい、「ああ、俺は予約してるから大丈夫」とタメ口で答えるワタシ。普段から敬語と警戒心を解かないドリ刑事なのに…。
他愛もないイタズラと言ってしまえばそれまでなんだけど、こちらの肩の力を見透かしたような自由な振る舞いに、のっけからものすごく濃厚な坂口恭平感を食らったような気分だった。
そんなハプニングを経て始まったライブは、これまたある意味で期待を裏切らない、未だ体験したことのない時間となった。
この日は喉の調子が悪かったようで、冒頭に本人が「今なら返金するよ」というくらいにガラガラの声。プロの歌という意味ではまったく不合格である。
しかしその崩れ落ちそうな歌たちを支えるのが、寺尾紗穂、厚海義朗(from GUIRO)、菅沼雄太という腕利きミュージシャンたち。
声の調子に合わせて、その場でどんどん変えていくセットリストに対応しながら、彼が天真爛漫に振る舞える土台をがっちり作り上げ、会場の熱をグングン上昇させていく。
特に初めて観る寺尾紗穂の歌とピアノはやんちゃな孫悟空を見守る三蔵法師の如き慈悲深さで、今までライブを見逃し続けていたことを深く悔やむほどだった。
そんな仲間の努力を知ってか知らずか、MCになるとハイテンションで喋り続けてしまう坂口氏。
早口すぎて半分くらいは聞き取れなかったんだけど、現実と想像、本当と嘘という厚くて高い壁を軽々と越えていく話が次から次へと湧き出てくる(内容は差し障りがあるので書けない)。
それを妄想と切り捨ててしまうことは簡単なんだけれども、果たしてそれでいいのだろうか。現実の本当の世界に生きている(と信じている)俺の常識が果たして絶対と言い切れるだろうか。
そう、ボーカリストの声が出てないからって歌が歌えないわけじゃない。演奏し始めた曲を途中でやめたってかまわないし、勝手に新しい政府やゼロ円ハウスを作ったっていい。
お前の定規ですべてを測れると思うなよ。
そんなことを教えられた夜だった。
さて、いよいよ開催まで約1週間!
まだ残席があるのが世界七不思議の一つと言われる最高なイベントです!!終演後のアフターパーティも(チャージフリー)合わせてぜひ遊びに来てください!
-Sons of Nice Song vol.1 -
日時:4/14(土) Open18:30 Start 19:00
出演:リーファンデ(Lee&Small Mountains)、東郷清丸
DJ:二宮浩輔(KENNEDY!!!)、真木朗(バナナレコード岡崎)
会場:Book cafe & bar カゼノイチ
料金:予約2000円 当日2200円 学割1500円
(いずれも+1ドリンク)
ご予約は以下のホームページまたはメール、twitterからお願いします。
予約用web https://reserva.be/dreamy1