年が明けてからというもの、とても不本意ながら過労死認定ラインを超える感じの忙しい日々が続いている。
なので平日18時半開演というこの日のライブも完全に諦めていた。
この俺が、曽我部恵一が、曽我部恵一バンドで5年ぶりに名古屋に来るのに前売りも買っていないなんて!コトの異常さを分かって頂けるのではないでしょうか。
でも時計の針が18時を回った瞬間、やっぱりすべてを投げ出してでも行った方がいいぞ、という神の啓示が聞こえたような気がして(くたびれすぎた末の発作とも言う)、「土日にがんばります!今日は帰ります!!!」と有無を言わさぬテンションで宣言し、あっけに取られる上司や同僚を尻目に会社を飛び出した。
開演時間をとっくに過ぎて、クアトロに到着。
受付でまだソカバンが始まってないことを確認してからチケットを買い、フロアに滑り込む。
そして超久しぶりに観た曽我部恵一バンドは、最新モードを完璧に着こなすサニーデイとは対照的に、あの頃のラフでボロくてパンクな服をそのまま着たような音だった。
なので当然その服は、メンバーが年齢を重ねた分だけ似合わなくなっていて、お世辞にもスマートとかスタイリッシュと言えるものではない。
でも言い換えるなら、そのちょっと不恰好なギャップこそが、みんなが刻んできた年輪であり、今も戦い続けてる証明でもある。
だったらまるごと全部、祝ってあげようぜ。人生全部を褒めてやろうぜ。
穴開きのコンバースで、でたらめなステップで。
そんな風に思いっきり背中を叩いてくれるようなライブだった。
思えば曽我部恵一バンドが最初のアルバム「LIVE」をリリースした2005年から、今のところのラストアルバム「トーキョーコーリング」を出す2012年までの7年間はそのまま、俺の実生活におけるストラグルの季節と重なっている。
氷河期をくぐり抜けて就職した会社で小突かれたり小突き返したりしながら、リーマンショックを乗り越えて、東日本大震災に打ちのめされて、子供が二人も生まれたり。
音楽の世界もCDがどんどん売れなくなっていったし、90年代に名を馳せたバンドもすっかりいなくなってしまい、なんだか暗くなる一方だったような気がする。
そんな中で、曽我部恵一が小さなライブハウスでも、デカいロックフェスでも、常に「LOVE-SICK」で120パーセントの熱情を込めて歌う”Everything gonna be alright”というメッセージの切実さと頼もしさ。あるいは「抱きしめられたい」や「魔法のバスに乗って」の、どうしても逃れることのできない孤独や不安に寄り添ってくれるような優しさに救われた夜のこと。
この上なく楽しそうに、でも何かを叩きつけるように演奏する大塚さんやオータさんの顔見ていたら、そんな記憶と感情がブワーっとフラッシュバックしてきて、「シモーヌ」のサビではもう顔を上げられないくらい感極まってしまった。
あぁ、今日もキモくてすみません…。
でもキモくてもダサくても、明日も朝から仕事しなきゃいけなくても、なんとか生きてきて良かったじゃん。今も死にそうだけど。
あの頃よりは少しは賢くなっただろうし、これからもなんとかやっていけるんじゃないか。
明日からのリアルな生活に直結する勇気をもらうという意味で、この日のソカバンは本当に特別だった。
“青春は終わるものだが、終わってもなお青春は、人生の一部であるのだから”
雑誌ユリイカのサニーデイ特集にフミヤマウチ氏が寄せた文章を思い出し、帰りの地下鉄でまたちょっと泣いた。
(ここからは宣伝です)
さて、この日のライブでもフライヤーを配布してもらったSons of Nice Songs、略してサンソン。絶賛予約受付中です!よろしくお願いします。
Sons of Nice Song vol.1
日時:4/14(土) Open18:30 Start 19:00
出演:リーファンデ(Lee&Small Mountains)、東郷清丸
会場:Book cafe & bar カゼノイチ
料金:予約2000円 当日2200円 学割1500円
(いずれも+1ドリンク)
ご予約は以下のホームページまたはメールからお願いします。
予約用web https://reserva.be/dreamy1
メール dreamycop2010@gmail.com