ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

子連れでロックする方法2017 森、道、市場に行ってきました(後編)に

前編からの続き)

 

森道2日目。
初日とはうって変わっていい天気。 晴れてるけど、そこまでギンギラでもなく、風も穏やか。
それにしても2日目は超充実のタイムテーブル。

 

 

10:30から始まるトップバッター青葉市子×detune.から19:50終了予定のceroまで全部観たい。

 


しかし、実は今まで一度も最初から最後まで会場にいたことがない我が家。
果たして子供の気力体力は持つのだろうか。重い荷物を抱えて先発隊として長女と二人で出発。

 
時間ピッタリにグラスステージ到着。 初めて青葉市子のライブを観る。

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エンジェリックにして静謐、それでいて力強さも備えた歌声で、開放的なはずの会場がひたひたと満たされていく不思議な感覚。 コーネリアスの新曲も、この人とのコラボレーションのフィードバックによるところも大きいのではないか。
歌の世界に寄り添い、拡張していくようなdetune.の演奏も見事だった。

 

 

 

続いてはサンドステージで我らがミツメ! いきなり本日のクライマックス。

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「イケメンのお兄さんたち一緒に見ようぜ」と約束していた娘は砂浜で山を作るのに忙しかったようなので、これ幸いとスピーカーの真ん前で観させていただく。

 

日差しの強い野外。しかも風が吹くビーチ。色白で精緻なサウンドのミツメにとっては不利なシチュエーションではないか…と密かに心配していた私だったが、謹んでお詫び申し上げたくなるレベルの堂々たる演奏でした。


「あこがれ」「disco」「煙突」と新旧の代表曲でお客さんの心をつかんでたし、ナカヤーンのジャンプもいつもより高かったし、川辺素氏のあんなに高揚した表情は初めて見た気がするし。

  

つまりオーディエンスもミュージシャン共に最高なライブだったんじゃないでしょうか。

そういや去年の森道にはトリプルファイヤー吉田、今年はミツメ。ということは来年はあの人が…?
もうここで月光密造やってくれないか。

 

 

 

午前中にしてこの充実感。 さあ次はグラスステージでユアソンだ!!
と、いきたいところだけれども、今日は子連れなんでね。トイレ連れてったり昼ごはん食べさせたり、とても忙しい。そして人がめちゃめちゃ多い。

 

 

ちなみに炎天下(あるいは大雨の中)、子どもと出店の行列に並ぶなんてムリ!という方は隣接するフェスティバルマーケット内で済ませるという方法もありますのでご参考まで。

 
 
さて、サンドステージに戻ってきてTHA BLUE HERB

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私にとって数少ないヒップホップヒーローの彼らではあるのだけれども、最近はしっかりフォローできていないこともあり、ちょっと遠慮ぎみにステージ後方でお昼ご飯を食べながら。
 
しかし「あかり from here」のトラックにBOSSが、この一期一会に命をかけるような濃い言葉を乗せた瞬間に血液が沸騰。DJ DYEのトラックもめっさファンキー。思わずイクラ丼を持ったまま立ち上がる。これはいくしかないぜ…。
 
 とグッときたところで遂に我が家のバッファロードーター・次女が登場。早速浜辺に連れて行くことを要求。
遠くから聴こえるブレイクビーツに耳を傾けながらヤドカリ探しに精を出した次第。

 

 
さて次はザ・なつやすみバンド。 シャキーン!に出てたバンドだぞ、ということで娘たちを説得してステージまで戻るもすごい人で近づけず…。音も控えめだったしね。

 

 

なんかもう俺の森道市場終わった感あるな…と思いつつグラスステージで大友良英スペシャルビッグバンド。あまちゃんファンとしては見逃せないやつ。
 

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「芸能界いろいろあるんでね。のんちゃんへの応援でこの曲やります」というぶっちゃけMCの後に披露された一曲目は「悲しくてやりきれない」のカバー。

 

芸能界に片足を突っ込んでいるはずなのに、タブーを恐れないこの姿勢。常に本気度120%のノイズギターに通じるものがある気がしたのは私だけでしょうか。 それにしても夕陽が傾いてきた海を見ながら聴く「灯台」は格別でしたよ・・・。

 



そのままグラスステージに残ってチャットモンチーを遠くから。

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チャットモンチーこそがゼロ年代の日本のロックのある種の屋台骨だったと信じている俺だけど、ライブを観るのは初めて。 二人っきりでステージに現れる潔さにシビれました。


そしてドラム、ベース、キーボードと目まぐるしく楽器を変えながら演奏される新旧の楽曲はどこまでもオリジナルな音で、大友良英と同じ種類の、メジャーど真ん中にいながら立ち止まらない勇気を感じた。


できればもっと前であの不思議な音がどうやって鳴らされているのか観てみたかったな…と子どもと相撲を取りながら思った次第。


 
しばし休憩。
このヤグラの上で回してたDJがとても良かった。

大江千里から王舟まで、スムーズなビート。
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さて! いよいよ大トリ・ceroの登場。 ここまでなんとかたどり着いたぜ・・・。
 

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日中のクラムボンの大盛況ぶりを見てこれは大変なことになるな…と覚悟を決めていたものの、意外と後ろの方は快適。今年は寒くなかったし。
 
サウンドチェックでいきなり「Summer soul」をフルコーラスで演奏してオーディエンスをロックオン。

ceroに対する予備知識も興味もバラバラな老若男女の心をパッと捉えて一つにしてしまう、この曲の持つ力強さ、スケールの大きさ。
まさに10年代のアンセムと呼ぶにふさわしい。
この場にいることができて幸せだ、と心から思いました。
 
本編ももちろん最高で、山下達郎もかくやという横綱相撲。日本のインディー史上最強の表現力を誇るバンドではなかろうか。

 

そういうグルーヴは子どもにも伝わるものなのか、音楽なんて1ミリもわからない次女も楽しそうに踊っていた(疲れてハイになっていただけかもしれないが)。

たぶんキミは今日のほとんどを忘れてしまうだろうけど、いつかきっと「え、あたし6歳の時にceroのライブ観てたの?マジで?」と言う日が来ることだろう。
その時は俺に感謝するように。
俺はceroに感謝するから。

 

 


そんな感じで今年の森道も無事終了。


人が多すぎて遊園地側のステージには一度も足を運べなかったし、行きたいお店やお会いしたい人にもあまり会えなかったとかいろいろ反省はありますが、この世に完璧なフェスなど存在しないのだ。完璧な絶望が存在しないようにね。

 

 

ということでまた来年〜。