学生時代、B-BOYの先輩に「ECDってどこがいいんすか?」なんて質問をしてた俺。
37歳になって、彼のライブを熱望することになるとは思わなかった。
そのきっかけとなったのは、今からちょうど半年前、dommuneのSEALDs特番で見たスタジオライブ。
まだリリース前の"LUCKY MAN"や"YOSOMONO"に気持ちが沸騰したことをよく覚えている。
でもね、いくら楽しみにしてたからってECDが出る4時間前に会場に着くのはどうかな、と自分でも思うよ。(近くで仕事があったからなんだけど)
おかげで初めて来たライブハウスで、初めてのハードコアバンドをひたすら眺め続けることに…。
修行、という言葉が頭をよぎる。
(もちろん、面白いバンドもいましたよ)
さて、雨が降ったり止んだりを何度も繰り返し、急遽やって来たウチの奥さんが会場にすべりこんだところで、いよいよ半年と4時間にわたって待ち焦がれたライブがスタート。
イリシットツボイの歪んだスクラッチノイズを合図に、いきなり重いパンチをラッシュしてくるようなECDのラップ。
一曲目の"1980"から、老若男女、フロア全員を興奮ロックオン状態に。
大きく揺れるフロアは間違いなくこの日最大の盛り上がり。ほぼ最初からずっといた俺が言ってんだから間違いないぜ。
セットリストは全て昨年リリースされた大傑作"Three wise monkeys"から。
あの摩擦係数の高いフィジカルなビートを、イリシットツボイが全身(足まで!)を使ってこすり、どんな爆音バンドにも負けない巨大な音像が、ライブハウスの中をグワングワン暴れてる。
そして、トラックが鳴り出した瞬間に、それまでのチャーミングな表情から一変、獰猛なラッパーに豹変するECD。
このスイッチの入りかた、音楽に対する集中力。安易にテクニックやスキルに逃げない愚直さ。
ふと、曽我部恵一のことを思い出す。
それにしても、フロアからの熱を真正面から受け止めて、乗り越えようとする身体の張り方。とても大ベテランとは思えない。
いや、身体の張り方を知っているからこそ、これだけのキャリアを重ねてこれたということか。
そりゃ「葬式でも棺桶から出てきてラップしてやるぞ」という"DAMARANE"があれだけ力強く聴こえるわけですよ。
20年経って、やっとその意味が分かった気がしますよ、センパイ。
そんなわけで、濃厚な時間は過ぎていき、あっという間にライブ終了。機材を片付け始める二人。
でも、オーディエンスの興奮は全く冷める気配はなく、拍手が鳴り止まない。
決められたルールをキチンと守る(気がする)名古屋のお客さんが、まだ次のバンドが出るのに、アンコールを求める続けるとか、コレかなりの異常事態。
そんなタダならぬ熱気に応えて、ECDがアカペラでかましてくれたのが"Rock in my pocket"!
全身全霊で生きることができれば、ジジイになるのは怖くない。
そして、俺もECDと同じ革ジャン買うぞ。
そんなことを思った(長い)一日でした。