
そう、スカート、トリプルファイヤー、Ducktailsの3マンを観に行くために。
俺には二つの不安があった。
一つは、大雪のせいで大幅にダイヤが乱れた東京の電車は、果たして無事に新代田まで俺を連れて行ってくれるのか、ということ。
もう一つは、俺の手の中にあるチケットの整理番号が、2日前に買ったにもかかわらず、14番だったこと。
えーと、ホームパーティかなんかじゃないよね…?
幸いにも、前者は杞憂に終わった。
しかし、後者の不安は的中。
トップバッターのスカートが始まった時に会場にいたオーディエンスは、せいぜい20名くらいじゃなかったか。
ヘイヘイ!TOKIO!!
この大都会に暮らすボーイズアンドガールズ諸君は少々この街の恵まれた環境に甘え過ぎじゃないのかい?
スカートだよ?現代のシュガーベイブだよ?近所で観れるなんて田舎に暮らすおじさんはうらやましくて仕方ないよ。
いやしかし。
そのうちの一人、トニー・ウィルソンはこう言った。
そう、伝説の目撃者は常に少数。
大丈夫。今夜もきっとそんなライブになるさ。
そんな風に自分を脳内で励ましているところに、水色のリッケンバッカーがまぶしい澤部渡さん率いるスカートが登場し、ライブスタート。
結論から申し上げます。
現代を生きる、心優しき青年のための、繊細なブルーズ。
そういうスカートの音楽の本質、骨格を濃厚に感じられる、素晴らしいライブでした。
キラキラと輝きながら胸を掻きむしるメロディ。
そのメロディと一体となった演奏が生み出すグルーヴ(4ピースなのに、パーカッションがいるところがイカす)。
30分という短い時間ではあったけど、心と身体の深くに音楽がグッと入りこんでくる瞬間が何度もあった。
特に最後の"ストーリー"!
こんなに素晴らしい曲が4年前からあったことを知らなかった去年までの俺にバカ!って言いたい、大きな声で。
でも、そんな曲に見つけることができた自分もほめてあげたい。小さな声で。
まだ未聴の人、今からでも遅くない。
Let`s get on board!(オザケン)
さて、続いてはトリプルファイヤー。
こちらもスカートと同様、去年の「月光密造の夜」に続いて2回目のライブ。
まだまだ紅白歌合戦とかは縁遠い感じです。
しかし、いったん演奏が始まってしまえば、えげつないくらいにゴリゴリのリズムと、ヒリヒリとした緊張感に満ちたギターが最高にクールなわけで。
この日のメインアクト・Ducktails(fromアメリカ)のメンバーも客席で観ていたけど、日本語がわからない彼らはきっと「Oh!これは日本のTHE POP GROUPデスネ…」と慄いていたであろう。
しかし、そこに乗っている吉田氏のダベりのようなボーカルが、あんなに不謹慎で不真面目で不条理な内容だと知ったら、一体どう思うだろうか。
そんなことをチラッと考えるだけで、このバンドのネジレ感の強さと言うか、批評性の高さがよく分かるというもの。
さて、とうとうトリのDucktailsが登場したわけですが。
すみません。例によって1秒も音源を聴いたことがないまま観ることに。
その日もらったチラシによると、「リバーブ・ポップの最高峰」という存在らしい。
リバーブ・ポップってなんだ?
言葉の意味すら分からないままライブ開始。
前2つのバンドに比べると、薄味感は否めないものの、文字通りリバーブの聴いたギターから奏でられる甘いメロディ。
なるほどこれがリバーブ・ポップか。
また一つ賢くなってしまったよ。
でも、このプリファブスプラウト感、あるいはドゥルッティコラム感、大好物です(例えが古いのは許してください)。
そして、ベーシストのビバリーヒルズ高校白書感あふれる髪型もギンギンに80'sしてて萌えた。
流行ってんのかな、アレ。
そんな感じでライブ終了。
凍てつく東京の街を転ばないように気をつけながら、そしてスカートはぜひワンマンで名古屋に来てほしいと考えながら、池袋のホテルへ向かいましたとさ。