ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

空白を埋める①(ゴールデンウィークの記録)

「今年はブログをマメに書こうー」と心に決めたのに、気がつけば2ヶ月以上も放置してしまった。書くことが何もなかったわけではなく、書くことがありすぎてタイミングを逃し続けてしまっていたのだ。最後の更新は4月28日。なのでゴールデンウィーク以降のことが更新されていないということになる。他ならぬ未来の自分のために、この空白期間を埋めていく。

 

4/29
ゴールデンウィークの最初は京都は磔磔で家主と台風クラブのツーマンを観た。チケットを取ったとか取ってなかったとかでご心配ご迷惑をかけてしまったけどチケットを入手して観ることができた。全国から来た家主ヘッズ台風クラブクラスタの皆さんにも会えたし、岡村詩野さんと妻が眼鏡トークで盛り上がっていたのも謎の光景だったし、その岡村さんのご紹介でメンバーの皆さんに挨拶させてもらえたことも良い思い出。

家主のライブは得三と合わせて2回観たけど、今まで音源しか聴いてなかった自分はこの人たちのことを理解してなかったな…と反省した。あまりにもソングライティングやアレンジが巧みなので、バンドとしての重心はそうした玄人サイドに置かれているとどこかで思い込んでいたのだ。彼らの一番の特徴である伸びやかなメロディーややばいくらいに透き通った歌詞は、「ひねりを極大化させるための手段」として位置づけられていると思っていたのである。しかし、このまっすぐな歌を本気で届けるということこそが、家主というバンドの根幹なんだな、と演奏している姿を見てようやく気づいたのである。「家主の曲はいつでも君の味方なのにさ」と歌われていたのに!ますます大好きになりましたよ。

 

本当は家族旅行で行くつもりだった京都。長女の部活の都合で急遽日帰りになったけど、ラジカクで紹介されていた中華料理屋さんに行ったりアーヴィング・ペンの素晴らしい写真展を見たり、たまたま入ったカフェが台風クラブのMVのロケ場所だったりしてめちゃくちゃ盛りだくさんでした。それでもまだまだ行きたいレコード屋さんも喫茶店もたくさんあったけど…体力の限界!

 

5/3

最近は観たい映画がたくさんあって、でも半分くらいしか観れていないんだけど、レオス・カラックスの『アネット』はなんとか観れた。でも一回じゃ足りない濃厚さ。無教養な私にとって初期のカラックス作品は「むつかしいフランス映画の象徴」なんだけど、今作はもう完全なるエンターテイメントで終始興奮しっぱなし。歌と台詞、人間と人形、観客と出演者、愛と憎しみ、そしてフィクションとノンフィクション…。目に映るあらゆる要素がそのギリギリの境界線、いわば不気味の谷を行ったり来たりする様が圧巻だった。もしかして初期の作品を愛する人たちにはちょっと違う…という感じだったのかもしれないけど、ベテラン監督の最新作がこれだけ開かれたものになっているというのはちょっと驚き。映画に限らず今年はそういう作品に出会うことが多いような気がする。

 

5/4
GW後半は家族で東京に。一番の目的はChim↑Pom from Smappa!Group「ハッピースプリング」展を観に行くこと。家族旅行がディズニーでもUSJでもChim↑Pomというのは娘たちがちょっと不憫のような気もするけど、そういう人生もオツなものだよきっと…。でも連れてきてしまった責任があるので、小学生の娘にいちいち作品の解説をしながら回る。たぶんほとんど理解されなかったと思うけど、わりと興味深そうに見ていた気もする。ちょっと前に、この展示を観に来た安倍晋三・昭恵夫妻とエリィのスリーショット写真がSNSに上がって大変驚いたけど、こうしてずらっと並んだ作品に対面すると、そんなこと大した問題ではないとが分かる。彼らの表現が暴くものの深さと広さは、表面的な党派性や地域性にとらわれるようなものではないから(当然、私の中にある欺瞞性も暴かれる対象である)。この件に関するツイートがいっぱいリツイートされてしまい、よくわからないリプもたくさん来たけど、答えを出すのは観てからにしようぜとは言っておきたい。


ちなみに今回の宿は下北沢のMUSTARD HOTEL。安くておしゃれで清潔で、言うことなしだった。しかしこれは雑多な街の活力を奪うジェントリフィケーションってやつか…?という気もしなくはなかったけど、建物も街に溶け込むように設計されているように思われ、良き再開発と呼べるようにも思えた。駅前の蔦屋書店にできていたちょっと漂白剤の匂いがしたけど。なお、夕飯はCity County Cityで。長女は2歳くらいの時以来の再訪。その時と同じピアノの前の席に座ったのはちょっと感無量。そしてみんなで街をぶらつきながら時計を見ると8時ちょい前。今ならまだPinkmoon records がやってるな…と思い、出たばかりの曽我部恵一のライブ盤を手に入れるため階段を駆け上がる店内へ。するとレジにいるのはなんと曽我部さんご本人。勇気を振り絞って挨拶をする。にこやかに「ああ!来月、リ君と名古屋行きますよ!」と応えてくれて嬉しかったけど、ずっと手が震えて財布からお金をなかなか取り出せなかった。早速ホテルに戻って部屋に備え付けられたプレーヤーで聴いてみる。最高。しかしせっかくご本人から買ったレコードなのにサインをもらえば良かった…と気づいたのは翌朝のこと。

 

5/7
愛知に戻り、家主で幕を開けたゴールデンウィークの最後をNEW FOLKのイカしたバンド・すばらしかで締めた。ナホさんがやっているbiotopeの企画で、対バンはジュラ紀6eyes。モグリと罵られることを覚悟でカミングアウトすると、名古屋の至宝と称される6eyesを観るのはこの日が初めて。私の中でボーカルのツチヤチカラさんは「いつもSAGOSAIDのアンコールに出てくる超怖そうな人」という印象だったのだけれども、めちゃくちゃカッコいいじゃん6eyes。なんで誰も教えてくれなかったのーと逆ギレしそうなほどだった。そして久々に見たメインアクト・すばらしか。最高すぎるキーボードプレーヤーの林さんが抜けちゃってどうなんだろうとちょっと心配してたけど、まったく余計なお世話でしたわ。

ロックンロールの魔法がかかりっぱなし。グルーヴの太さがごんぶとすぎて、気がつけば年甲斐もなく最前列にいて踊り狂ってしまった。そういうことはやめようと思っていたのに…。翌日は耳鳴りが止まずに大変だったけど、最高のイベントをありがとうございました。


という感じでゴールデンウィーク終了。