ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

佐久間裕美子+若林恵「こんにちは未来」を読んだ感想と仕事の愚痴

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帰省もできないこの冬休みには絶対に本を読もうと決めて、かなり前にON READINGで手に入れてあった佐久間裕美子・若林恵「こんにちは未来」の3冊セットを一気に読み、とても刺激を受けた。


お二人の会話をまとめたこの本には、何か明確な結論が書いてあるわけではないのだけれども、「結論≒情報」はネットで簡単に手に入ってしまう時代である。私が生活者として、あるいはビジネスマンのはしくれとしてこの本を読んで有意義に思えたのは、未来志向の(ただし、現代でちゃんと地に足をつけた)人たちのモヤモヤした空気というか、まだ答えの出ていない問題に対する態度に触れることができたこと、という点にある。まだ答えが出ていない問いや課題にこそ、新しい可能性あるいは脅威が潜んでいるわけだから…。


今の私の仕事(刑事ではない方)をざっくり言うと、会社の従来領域とは違うところで何か新しいビジネスを起こしなさい、といういかにも閑職感あふれるものなのだけれども、もうこれが本当に難しくて泣けてくる。100万個くらいあるうまくいかない理由を総じて言うと、「この世に新しいビジネスという名のビジネスは存在しないから」ということなるのだろう。弊社にとっての新領域は誰かにとっての従来領域であり、長年その領域に根を張り、しのぎを削ってきた先達がいる。そこに後からノコノコやって来た俺たちが中途半端なアイデアと資本を投下したところで、それに見合った利益をあげることなど到底不可能。つーかいいカモでしかない。じゃあ誰もいないところで釣り糸垂らせばいいじゃーん、という話なんだけど、そこにはまったく魚がいないんですよねー。

ともかく、ちょっと目新しいくらいの「テック」とやらでゲームチェンジは起きないのですよ社長。はい分かってます。ただの言い訳ですね。


なので本当に新しい領域で新しい商売をやりたいのであれば、この本で語られているような、まだ固定化されていない社会の空気感、潮流、倫理、大義…そういったものをメンバーが共有するところから始めないといけないように思うのだけど、果たして会社という「定款によってビジネス領域が定められた組織」において、それが可能なことなのか未だによくわからない。この本渡したらみんな読むかな?読まないだろうな…。


そんな感じで今年も悩みは尽きないけど、今年こそ未来をこんにちはさせないといよいよ給料をもらえなくなる気がする。これからはちゃんとPodcastも聞いてアップデートしようと思います(フォローしました)。