ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

もうロマンチックなものしか聴きたくないよ。 ミツメ「エスパー」

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10月にスカートが、11月にはトリプルファイヤーがそれぞれシーンに衝撃を与える名作をドロップした2017ペナントレース後半戦。

東京インディー三銃士、奇跡の惑星直列のしんがりを務めるのは、しゅっとしたファブフォー・ミツメである。

 

それにしてもこの状況。
まるで1985年4月17日の阪神タイガースvs巨人戦。バース(スカート)、掛布(トリプルファイヤー)が二者連続でバックスクリーンにホームランを叩き込んだ後に打席へ入る岡田彰布のようなもの。
「まさか三者連続ホームランなんて…」と誰もが思ったその刹那、心のバックスクリーンに飛び込む大アーチ「エスパー」をぶち込んできましたよ、涼しい顔して。


イントロの1小節目から、キラリと光りながら空を飛ぶシンセサイザーの音と、鼻の奥がツンとするベースラインで聴き手の身体を優しくつかみ上げる。

そしてそのまま上空10メートルくらいをふわふわと飛んでいくようなAメロ、Bメロを経て、ミツメ史上最大級に開かれたサビに突入。
聴き手の共感をささやかに誘うハンドクラップも、プリファブスプラウト級にキラキラしたギターソロも、映画のようなストーリーを感じさせる歌詞にも、今までにない体温を感じる。

デビュー作「mitusme」、2作目「eye」で極めたメロディを解体して、再構築してきたミツメが鳴らす、これまでにないスケール感のポップミュージック。

 

俺はもうロマンチックなものしか聴きたくないよ…。
そんな気持ちになりました。


カップリングの「青い月」も同じくビーチボーイズ的なたまらない甘さを含んだグッドメロディ。「エスパー」と同様に、万人に開かれた名曲。
おまけにアウトロではミツメのトレードマークとも言うべき繊細なカッティングギターとコーラス、シンセサイザーの三者によるスリリングなせめぎ合いまで堪能できる。ライブで感じるあの高揚感!
いわばミツメの魅力が全て詰まった4分46秒だ。

 


そして最後に、この二曲を包みこむアートワークにも触れておかなければならない。
聴く前にはミステリアスな期待感を抱かせ、聴いた後には楽曲とのシンクロ感でシビレさせるトヤマタクロウによるジャケット写真。
そういえば2016年はこの人の写真展で納めたのだった。

 

今年も冬の元気なご挨拶を頂いた気分です。