
"ひみつ"と"First Waltz Award"の2枚。
なんでこの二枚をチョイスしたのかわかんないんだけど、あの時はとにかく焦って注文したから仕方ない。
ところでスカートって、てっきりバンドだと思ってたら、澤部渡さんという方のソロプロジェクトだった、ということを最近知った。
しかも、もともとは一人で宅録してて、レーベルも1人で立ち上げた、と。
わたくしごとですけどね、当方もこの1年以上、会社じゃ毎日ボッチ飯なんでね、がぜん親近感わきましたよね。この人も友達いないのかな…って。
はい。
そんなことはどうでもいいとして。
まず、"ひみつ"から聴きました。
もう1曲目の"おばけのピアノ"の冒頭8小節で完全にもってかれましたね。
パッと聴いて「あ、俺このバンドには抗えないな」っていうガツンとした瞬間ってあるじゃないですか。ないですか?あるんですよ俺は。
と言うか、その瞬間のために新しい音楽を探し続けてると言ってもいいです。
とにかく、久々にきましたね。これは。
超個人的な経験で言うと、椎名林檎のファーストアルバム1曲目"正しい街"の最初のコーラスを聴いた時の感覚に似たセンセーション。
どちらもメロディーと歌詞、それを支えるベースラインに強い説得力があるから思い出したのかも。
それはともかく。
なによりまず、日本の良質なポップミュージックの歴史をギュッと凝縮したようなメロディセンスがヤバい。もう今までに言い尽くされてることなんだろうけど、俺ももう一回言わせてもらいます。
錚々たるミュージシャンの顔が浮かぶんだけど、そういうミュージシャンのフォロワーと呼ばれた人たちは星の数ほどいるわけで。
そういう星の数ほどの彼らが知らない、本当の天才だけが知るメロディーのツボのようなものを知ってる気がするんです、この澤部さんは。
しかも、さすが一人ユニットだけあって、アレンジがメロディーと一体になってるから、心と身体が一緒にスウィングしちゃう気持ち良さがある。ジャック・ペニャーテ的な。
いずれにせよ、世が世なら普通に500万枚くらい売れるべき人なんじゃないか、と思います。
それでいて、その珠玉の楽曲を良い意味で放り出せるというか、大事にし過ぎない、ロック魂、パンク精神、もしくはある種のやけっぱち感も感じるんですね。
これ、500万枚には関係ないけど、個人的にはすごく大事なこと。
でも一方で、この録音物で(2枚しか聴いてないけど)、彼の才能が100%表現されているかと言うと、全然そんなことないと思ってしまうのもまた事実なわけで。
歌と演奏と音質のクオリティがもう少し上がれば、今の10倍くらいの人達にすぐ届くのに…と。
こういう発想が、いかにもしみったれたサラリーマン的なものってことはわかってますよ。
でも絶対にもっとやれる子ですよ、渡君は。
そして本人もきっとそう思ってますよ、お母さん。
たぶん、この人は自分の才能に見合うだけのコストをかけられる環境で、音楽を作っていないと思うんです。
そういう類いのもどかしさを抱えているという点では、これは21世紀のシュガーベイブってこと、かもしれない。
ついでに言うと、ギターのカッティングがメチャ気持ちいいのも一緒だし、歌詞の中にも"雨は手のひらにいっぱい"ってフレーズが出てくるし。
だから俺は言いたいよね。
"Songs"の40周年リマスター盤とか買ってる小金持ちのオジさまたちに。
その金で、スカート買おうぜ、と。
だってそれ、どうせ通算3枚目くらいの"Songs"なんでしょう?
それ聴いて「あぁ、一度でいいからシュガーベイブのライブ観てみたかった」と思うわけでしょう?
だったら、そのポケットの小銭は、21世紀の山下達郎が誕生する瞬間に立ち会うことに賭けた方が、ロマンティックでロックンロールじゃないかい?
山下達郎と同じくらい、売れる理由(と売れない理由)を持った澤部渡がどこまで行けるのか、みんなで見届けようぜ!!!
…また勝手に盛り上がっておかしなことを書いてしまった。
こんなブログを読んでる小金持ちのおじさんなんていないのに…。
もし俺がIT長者とかだったらポンっとレコーディング費用出したいところなんだけど、申し訳ないほど庶民でゴメン。
他の音源もちゃんと買うから許して。
でも最後に言っておくと、ライブ盤の"The First Waltz Award"ってタイトル、コーネリアスのファーストアルバム"First question award"と小沢健二のライブビデオ"First waltz"のタイトルをくっつけただけだよね?
そういう投げやり感、スリリングでいいと思うんだ。