ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

ミツメ・スカート・トリプルファイヤー "月光密造の夜"をオッさんが観た話

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ceroのライブのMCで名前を知ったミツメってバンドの"eye"というアルバムをApple musicで聴いてみたら、とても良かった。



そしたらちょうど名古屋で3バンドでライブをやるという情報をキャッチしたので、月曜日からクアトロに行ってきましたよ。




とは言え、ミツメはそれしか聴いてないし、他の2つのバンドは音源を一切聴いたことがないといういい加減さ。


今までにないパターンですが、なんとかなるわよと自分のシックスセンスを信じて入場。



しかしそれでもなんともならないのは俺のオッさん具合。

なんせ3バンドともほぼ10歳下。
お客さんも当然若さをもてあそんでるようなやつらばっかし。



ミスタークールビズなサラリーマンの俺は居場所がなし。

意味なく何度もトイレに行ったり。
タバコ吸わないのに喫煙スペースに入って壁紙の写真撮ったり。




でもまぁヤングはそんな俺の気持ちに目もくれず、ライブを始めるわけよ。イキがいいからね、アイツら。



トップバッターは本命のミツメ。


おい、メシ食ってんのか?と心配になるほどやせ細った四人組が下を向いたまま演奏を始める。




ルックス通り、か細い声で繊細なメロディーを歌ったりするんだけど、なんだろうこの中毒性のあるギターリフと絶妙にスカスカなグルーヴは。



しかも、途中からはカウベルとかマラカスとか持ち出してきて、どこのストーンローゼズだよ、みたいな。


特に序盤にカマしたメドレーはもう一晩中やっててくれよ、という気持ち良さで、年甲斐もなく思わずフロアに降りちゃいましたよ。



後半のカバーはぶっちゃけオリジナルには負けてると思ったけど、"Disco"はやっぱりライブで聴いても名曲。

あと、途中で楽器を交換するところも地味にカッコ良かった。



やるじゃん、若者たち!

おじさん、今日は来て良かったよ!!

と、のっけから大満足。




続いてはスカート。

ここからは音源未体験ゾーン。


多分、知ってる人には今さら過ぎる件だとは思うんだけど、ボーカルのボーカルという役割を超越した、そしてリッケンバッカーがまったく似合わないルックスにビビる。


リッケンバッカーと言えばやっぱりポール・ウェラーとか古市コータローみたいな貴公子のためのギターじゃないですか?


それを秋葉原にいるホンジャマカ石塚が弾いてるんだから一体どういうことなんだ、と。




しかも、その彼がまたやけに男前な、いい曲を歌うわけですわ。



なんせ初めて聴いたから間違ってるかもしんないけど、斉藤和義くらいのメジャー感。



え、おまえ彼女いんの?童貞じゃないの?みたいな混乱に陥る。



しかしそんなワタシを置いてきぼりにしたまま、ステージ上のお世辞にもイケてるとは言いがたい若者たちは、いつの間にか大ファンキーチューン大会を始める。

水色のリッケンによる熱いカッティングに、ワタシの意外とサラサラな血液も一瞬で沸騰。


さっきまでホンジャマカだった彼が、達郎、サンボ、岡村ちゃんを通過して、最終的に田島貴男(つまり色男)に見えてくるんだからロックンロールは本当に不思議だよ。



気がつくとオッさんも、本日2回目のフロアタイムに突入。




凝り固まった価値観を反転させる、まさにロックンロールの魔法を感じた数十分でした。






さて、最後は高田馬場のジョイディビジョンとの異名を持つという、トリプルファイヤー。


ZAZEN BOYSとかギャングオブフォーみたいな無機質で硬質なビートがかっこいい。

間違いなく本家ジョイディビジョンより演奏は上手いと思われる。


しかし問題はここからだ。


その男前グルーヴに、明らかに場違いな、赤塚不二夫風味の星野源みたいな風貌の、バイトも3日でバックれそうな若者が、意味不明の供述を不安定なテンションで乗せていくという斬新すぎるスタイル。



なんなんだコイツは。

またしてもオッさんは混乱した。




でも、よく聴くとデタラメみたいなボーカルも実はオケとぴったし合ってるし、歌詞もなんか意味がありそう。たぶん。



"ジミヘンを聴いたことがあるかい"と執拗に聴いてくる曲とか、ムッシュの"ゴロワーズを吸ったことがあるかい?"のオマージュかも、と思ったし、ミツメのカバーはスミスみたいだったし、意外と良いヤツかもしんない。


ありし日のINUとか、こんな感じだったのかしら。

と、本日3回目のフロアタイムをキメる。



で、なんで彼らが高田馬場のジョイディビジョンなんだっけ?と思い出して改めて見ると、ボーカリストの変な振り付けというか体の動きがイアン・カーティスみたいだった。


あと、ベースがどう見ても前の職場の後輩にしか見えなかった、というどうでもいいことも書いておく。




そんな感じでライブ終了。


いや、野生の勘を信じて見に来て良かった。



10歳下のミュージシャンの演奏するロックンロールに興奮する日が来るとは思わなかったし、少なくとも彼らが現役で活躍する期間は俺もまだまだ楽しめるんだな、と思うと人生捨てたもんじゃないすよと思ったり。



とりあえずしばらくは、なけなしの自分の時間は音楽/芸術に注ぎ込もうと思いましたよとりあえず。



良い夜でした。
翌朝は足腰パンパンでしたけど。