ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

曽我部恵一の弾き語りライブに行ってきた

曽我部恵一の弾き語りソロコンサートに行ってきた。

 

会場は名古屋市千種区の小さな円形劇場。

 

狭い会場で弾き語りなんてちょっと息苦しいんじゃないかしら、と思って行こうかどうか迷ったけど、サニーデイのライブ盤を聴いたらいてもたってもいられず、ギリギリでチケット購入。

 

やっぱりライブは行ける時に行っておかないと。人生何があるかわからないし。という最近のポリシー。
人生の折り返し地点も近いわけですから・・・。

 


さて、会場を埋めたお客さんは、年配のサラリーマンから子連れのお母さん、カクバリズムな若者まで、実に幅が広い。

 

公営施設なので、ライブハウスと違ってお酒も売ってないし、SEも小さい音だし、まるでクラシックのコンサートが始まる前みたいな、静かな緊張感が漂う会場。

セミのシャウトが轟く外の酷暑がウソのよう。

 


オンタイムでギターを持った曽我部恵一氏、登場。

 

クタクタのTシャツに短パン、髪もヒゲも伸びてる。

まるで近所のコンビニにでも行くかのような格好で、会場の中にいる誰よりも小汚い身なりであることは間違いない(オルタナ系のミュージシャンっぽい、と言えばそう見えなくもないが)。

 

一言もしゃべらないまま椅子に座り、”白い恋人”からスタート。


この曲、イントロないんですよね。


よって静寂の中に、いきなりあの歌とギターがガツンと飛び込んでくるもんだから、聴いてるこちらは不意をつかれた感じで一気に音楽の世界に引き込まれてしまう。


「うわー、すげー歌うめーなー」
「わー、いい曲だなー」

というアホウみたいな感想しか浮かばないんだけど。

 

そこからは夏しばりの選曲で、サニーデイ・ソロ・ソカバンと、まんべんなく2時間歌いっぱなし。
その音楽的なフィジカルの強さと言ったら。

 個人的には久々に聴くソロ・ソカバンの曲の方にグッときました。

 どの曲も素晴らしいんだけど。


それにしても、曽我部先生のボーカルは、レンジが異常に広いと言いますか、独り言のようなささやきから、建物を吹き飛ばしそうなシャウトまで、自由自在の縦横無尽感。


「この会場で歌ってると、宇宙の中に一人で歌っている気分になる」とMCで言っていましたが、聴いているこちらの気持ちも無重力状態に。

バンドというフォーマットによる制約の無い、弾き語りで聴く曽我部の歌は、メロウなだけじゃなくて、深い海の底を覗きこむような、ボワンとした不安を駆り立てられるんですよ…。

 

メロディの海を漂いながら、曽我部恵一という人間の地面はどこにあるのかしら、なんてことを暗闇に浮かんだ小汚いおっさん(失礼!)を見ながらずっと考えているうちに、あっという間に2時間終了。

 


息が詰まるんじゃないか、途中で(俺が)飽きてしまうんじゃ、という心配は杞憂に終わり、濃厚かつクールな、実に素晴らしいライブでした。


ライブが終わって数日が経つけど、アレはマボロシだったんじゃないかしら、と思うような不思議な夏の夜。

 

 

※当日のセットリスト。ローズレコードのHPから拝借。

曽我部恵一 ソロライブ「愛のような」> @愛知 名古屋 千種文化小劇場 ちくさ座

01 白い恋人
02 女たち
03 サマー・シンフォニー
04 八月の息子
05 96粒の涙
06 朝日のあたる街
07 さよなら!街の恋人たち
08 海へ出た夏の旅
09 果実
10 スウィング時代
11 碧落 -へきらく-
12 浜辺
13 テレフォン・ラブ
14 おとなになんかならないで
15 キラキラ!
16 シモーヌ
17 LOVE-SICK
18 魔法のバスに乗って
19 ギター
20 サマー・ソルジャー
21 One Day
encore
センチメンタルな夏