ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

「土曜の午後 日曜の朝vol.2」で関美彦のライブを観た話

1/30、1/31に行われた「土曜の午後 日曜の朝vol.2」というイベントでの、関美彦さんのライブが配信された。しかも北山ゆう子、伊賀航というスーパーリズムセクションを率いたバンドセット。まさに私が夢にまで見たやつじゃないですか…。これは最高のコンディションで見なければ!と鑑賞するタイミングを探っているうちアーカイブ配信期間ギリギリに。結局前日の夜中になって、家族が寝静まった後にヘッドホンを被って鑑賞したのだけれども、関美彦がいかに特別なミュージシャンであるかということを、改めて感じ入るライブだった。素晴らしすぎて途中で2回くらい泣きそうになったのだけれども、それはもしかすると飲みすぎたワインのせいかなと思って次の日もう一回観た。しかしやっぱり鼻の奥がツンとしたので、この感想に間違いはないと思う。

 


ゲストボーカルで出演したルカタマ、小日向由衣さんとの会話をしている時の関さんは、はっきり言ってアイドルが大好きすぎるおじさんでしかない。アイドル事情に疎い私のような者からすると、関さん大丈夫?なんかいじめられてない?と心配になるほどに。


が、ひとたび演奏が始まれば、その危うさは一変。(たしか)指が痛いからという理由で封印していたはずのギターでコードをかき鳴らし、真剣にリズムを刻む姿には、誇り高きミュージシャンシップに溢れていた。私が過去2回観た関さんのライブはいずれもピアノの弾き語りで、死の気配すら感じさせるデカダンな美しさがあったのだけれども、この日の関さんは完全に生のエネルギーを放っているように思えた。

そこで私が思い出したのは、去年小西康陽がPIZZICATO ONE名義でリリースしたライブ盤「前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン」。あのアルバムが、深い感動をもたらしたのは、小西康陽が音楽において最もプリミティブな表現形態である「歌」というものに、一切のギミックを仕込まず、ただ愚直に立ち向う姿が記録されていたからというところにあるだろう。この日の関さんの姿にも、それに通じる佇まいがあったように思うのである。もちろん手練のミュージシャンたちによる最高の演奏が彼らの歌を支えていたという点も「前夜」同様である。ラストの超名曲「Blue」の完璧な演奏を、私は決して忘れることはないだろう。


もうアーカイブ期間は終わってしまったのだけれども、YouTubeに少し動画も上がっているようなのでぜひ観て頂きたいと思うのです。

https://youtu.be/yjNAMPdjBe8