ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

森道市場2019に行ってきました

今年も森道市場に行ってきました。

しかも三日間。

おかげで今は肩が、背中が、首が、もうガタガタなんですが(前の日記で「老いを感じない」などと書いた罰か)執念で備忘録を残しておきたい。

 

初の金曜開催となった1日目。

とりあえず、涼しい・空いてる・身軽(子どもを連れてきてないから)ということにマジ感謝。

まずはサーカスステージでキイチビール&ザ・ホーリーティッツ。下北沢の古着屋からそのまま出てきたような佇まいがキュートだ。新しいアルバムからのオリエンタルな曲が特に良かった。ただ最初のバンドということもあってか、PAの具合がちょっと耳に痛くて、ライブハウスでまた見たいです…。

 

続いて、遊園地ステージでHFこと藤原ヒロシ。もはや彼が偉大な音楽プロデューサーということを知る人はどれくらいいるのかわからないけど、音楽性は収入に比例するのか、と言いたくなるほどのラグジュアリー&セレブ感。キイチビールとは真逆すぎる世界。とにかく鉄壁の演奏によるAOR。お客さんのファッショニスタ感もハンパ無かった。PAのところには何度も雑誌で顔を見たことがあるソニーの超エラい人もいたし。

でもやっぱり俺はこれをナニクソって蹴っ飛ばすような音楽が聴きたい。それこそがHFに対するマキシマムリスペクトだって思うし。

 

で、もう一回サーカスステージに戻り、前野健太。初めてバンドセットで見るマエケンは、マエケン濃度がそのまま5倍くらいになってて最高だった。出色だったのはこの曲で反戦デモやりたいと呟いてからの「マッシソヨ・サムゲタン(参鶏湯、美味しい)」。お客さんにシンガロンを無茶振りしたかと思えば、最後はポンチャックで暴走。どこまで本気かわからない前野健太の怪しげな愛が凝縮されていた。

蒲郡競艇場まで届くくらいにリバーブかけて」と言ってから歌った「ファックミー」を聴いてたら、無性に蒲郡駅前の赤ちょうちんで日本酒が飲みたくなってしまった。

 

しかしここは森道市場だ。せっかく空いてるし、おしゃれなフードを食べねば…と浜松に行った時には入れなかったnaruの蕎麦などを食す。この写真からではオシャレ感が伝わらないと思うけど…。

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そしてその目前ではodolがライブ中。予備知識なしで観たけど、硬質で清冽なダンスビートと、ちょっとイアン・カーティスっぽいボーカルの佇まいがカッコ良かった。

 

海側のエリアへ。

グラス ステージではm-floが。昔はもうちょっと好きだったと思ったんだけどなと、曖昧な記憶と時の流れの残酷さを噛みしめながら浜辺を散歩。

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さて。いよいよこの日の大本命・佐野元春&THE COYOTE BANDの登場。

聴かず嫌いしていた佐野元春の音楽を初めてちゃんと聴いたのは今から20年くらい前。その力強さとモダンさにすっかりやられてしまったわけだが、今の今までライブを観る機会がなかった。しかも今日はあの超名盤「Blood moon」を生み出したCOYOTE BAND(ベースは高桑圭!)との共演ということで、私の期待は最高潮に。

この日のライブはモニターの調子が悪かったのか、ややボーカルが不安定なところもあったけど、目の前に元春がいる、という事実だけでもう感無量。彼がニコッと微笑んで親指を立てる度に感じる肯定感はいったい…。

「今日集まってくれた幅広い世代の人たち、20代、30代、40代、50代の、いつかきっと!という気持ちを歌にしたから、よかったら一緒に歌ってくれるかな?」というMCの後で演奏された『SOMEDAY』で泣いた。我ながらベタだ。しかしベタでなぜ悪い。だって40年近くも風化せず背中を押してくれる歌、ほかにあるかい?演奏後、颯爽とかけ足で退場する元春の背中に手を合わせて1日目の森道市場が終わった(子どもを迎えに行かねばならないので)。

そういえば、佐野元春のライブ中にふと後ろを見ると、KIRINJIのメンバーがいた。フェスで次の出演者が客席で見てるのも珍しい。みんなのヒーロー元春。

 

さて二日目。

柴崎祐二氏のDJが聴きたくて頑張って早起きしたものの、前日とは打って変わって人が多い!三河大塚駅からの送迎バスに乗れず、トボトボ歩いて会場へ。ボッチフェスの悲哀を感じる。そして会場に着いても動線の混乱が大変なことに。会場奥のサーカスステージに着いた頃にはもうぐったり…って柴崎祐二が出るのここじゃなくてディスコステージじゃねーか!と気がついた時にはタイムオーバー。強い日差しでジリジリと背中を焼かれながらHei Tanakaを待つ。

 

Hei Tanakaを観るのは3年ぶり。前回はちょうどこの時期、渋谷WWWだった。チンドン屋スタイルでジャズ、アフロ、ブギをごった煮にした音楽を全力で鳴らすスタイルは不変。しかしメンバー間の呼吸がよりぴったりきてる感じで、スタイルなんかでは語れない、何か巨大な岩を動かそうとしているような無謀さが良かった。一日目はちょっと厳しかったこのステージのPAも改善されていた。

 

その後は、メジャーなバンドの演奏を横目にブラブラしたが、暑さもあいまってどっと疲れる感じだった。一人だと耳に入ってくる音楽を聞き流すこともできず、ひたすら受け入れるしかない。ボッチフェスの悲哀再び。

 

昼過ぎに妻と合流してグラスステージへ。今日の大本命・曽我部恵一率いる抱擁家族を観るのだ。細野しんいち、MC.sirafu、平賀さち枝、加藤雄一郎という個性的なメンバーを引き連れた新バンド。なんと曽我部はドラム&ボーカルを担当。タイムテーブル上は曽我部恵一の文字が一切なかったので、ノーマークにしてた人も多かった模様。「あれ曽我部じゃん!」という声がちらほらと聞かれた。音としてはランデブーバンドに近い気もしたけど、平賀さち枝がボーカルを取る演歌っぽい曲もあったりして、より演劇的というか、この編成自体にテーマがあるようにも感じられ、とにかく計り知れない。「家族をテーマにした曲が多かった」というのは妻の見立てだが、正解かどうかは不明。それにしても曽我部恵一の、常に新しい環境に身を置いて、初期衝動を内在化させようとする姿勢には本当にすごいと思う。

 

↓もしよろしければTURNに書かせてもらったこの記事もぜひ。

http://turntokyo.com/features/series-btotm201904/

turntokyo.com

「まだ音源もないバンドなんで、終わったらフリマやります」という曽我部のMCも気になったけど、いや俺は物販より音楽だから!と言い聞かせてサンドステージでカーネーション

遠くに曽我部フリマが視界に入ってくる落ち着かない環境だったが、そんな煩悩をぶっ飛ばしてくれるカーネーションのライブだった。どこまでも男くさい歌なんだけど、ソウルやソフトロックの匂いをさりげなく感じさせるソングライティングが洒脱で心地良く、なんと言っても演奏が素晴らしかった。やっぱロックンロールは(ギターも含めて)リズムが大事、と改めて教えてもらったような気分。カーネーションとはあまり縁のなさそうなバンドのTシャツやタオルを身につけたキッズも楽しそうに踊っていて、さっきこのバンドの暑苦しさに毒づいていた自分の狭い了見を反省。こういう若者たちがカーネーションを発見してくれると思うと、幅広いブッキングにも意義があるんですよね。。。

そしてラストの「EDO RIVER」で呼び込まれたスペシャルゲストはなんと曽我部恵一!私が高校生の頃から大好きな曲を、俺の一番のアイドルが歌っている。このご褒美具合、もうこっちがごめんごめんごめんごめんだよ…と軽く錯乱した。

 

ライブ終了後、残り少なくなった曽我部フリマでレコードを無事に3枚購入。超定番のイカしたやつばかり。しかも超良心的プライス。家宝にしたい。

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カゼノイチ上野さんファミリーと会ってムスコ氏をイジり、ペトロールズをチラッと見てベースの人(三浦淳悟)が昨日のHFバンドでも弾いていたことを確認し、この日は早々に切り上げ。娘たちを迎えに行かねばならぬゆえ。なんだか贅沢な過ごし方をしている。

 

そして3日目。

この日のみ家族全員で朝から参加。

昨日の反省を生かし、車で9時45分に会場到着。さあDJ松永良平に行くぞ…って思ったらもうめちゃくちゃ長い列が入口にできている。最後尾まで1キロ以上歩いてから並んだわけだが、The XXXXXXって書いてあるTシャツを着ている人がめちゃくちゃ多い。なるほどさすが…と感心している間に時は過ぎ去り、松永良平には全然間に合わず、なんとかシャムキャッツのライブギリギリに飛び込む。

 

が、しかしこれが素晴らしいライブだったんすよ。普通のお兄さんたちが歌う半径5メートルの日常が、なぜにこんな大きなステージで、こんなにたくさんの人の気持ちをぶち上げてしまうのか。一年前に観た時もたぶん同じこと思ったんだけど、確実にあの時よりも強度を増してたし、ビーチで聴く「渚」とか「GIRL AT THE BUS STOP」とか爆発しないわけないし、「逃亡前夜」はもはや発明って感じのアンセム感。盛り上がった夏目君、最後はTシャツまで脱いでましたね。そうやってキャーキャー言われてる姿も実に絵になる。

 

続いてはサンドステージでGUIRO。本日の目玉である。

この日のメンバーは高倉、厚海、牧野の三人に、西尾賢、亀田暁彦、光永渉、あだち麗三郎が加わった豪華な7人編成。超待望の新作『A MEZZANINE』(英語読みだとマッシブアタックとかぶるからラテン語読みで『ア・メッザニネ』)が出たばかりということもあったのか、エクスペリメンタルでありながら、かなり仕上がった感じの演奏。普通のバンドのアルバム3枚分くらいの情報量が一曲ずつビシッと過不足なく封じ込められていた。特に亀田暁彦のシンセ。彼が加わることで、彼らの普遍的で独創的な音像が200年分くらいモダナイズする感じがする。そしてこの日も演奏された新曲「三世紀」がヤバかったのだけど、この話はまたいずれ…。「海の前で演奏するのが夢だったんです。ありがとう!」と珍しくストレートな高倉さんのMCにもグッときた。

 

雨が降りそうな天気の中、遊園地側に移動。子供とそれなりに大きくなったので、遊園地で放牧できるのが楽だ。今までがんばって育ててきて良かったぜ…。

 

で、観るのはドレスコーズ

遊園地のプールのそばに立つステージと、ニューアルバムからのメロウなグルーヴがもう最高にロマンチックだった。ちょっと名盤「ティンパンアレイ」を彷彿とさせる憂いもあって。新作を聴かねば…。それにしても志摩さんはいい意味で20世紀的なグラムスター感がありますね。。

 

と、ここでとうとう今年はじめての雨が。しかも結構シトシトと。でも次はフレシノだから、俺は頑張る。

というわけで、遊園地ステージでKID FRESINO。しかも念願のバンドセット。メンバーは小林うてな、佐藤優介、柏倉隆史、斎藤拓郎に三浦淳悟と超豪華。え?三浦淳悟?ってことは一昨日このステージに出演していたHFバンドで弾いてたじゃないですか。めちゃめちゃプログレッシブでタイトなパフォーマンスに、藤原ヒロシがメジャーフォースで日本にまいたヒップホップの種は、今やこんなに成長しましたよ…と、1日目と3日目をまたぐブッキングのストーリーを勝手見出してグッときてしまった。

 

いよいよ雨が強くなってきましたよ。もう帰ってもいいんだけどな・・・と思うのだけど、小6長女がKing Gnuが見たいとおっしゃるので、最後まで粘ることに。しかもご本人と妻は車の中で昼寝するから、次女を連れて遊園地で遊んで来い、と。

というわけで、降りしきる雨の中、メリーゴーランドに並び、ジェットコースターに乗り、3D映画を見て、父親業に専念する。遠くから真心ブラザーズの歌う「拝啓、ジョンレノン」が聞こえてきてきた。

 

そして父ちゃん疲労困憊の中、力を振り絞ってカネコアヤノを観に行くためにサンドステージまで歩く。通りがかったグラスステージではソフトバレエが演奏しているのが聞こえ、ついに幻聴が…と思いきや、演奏しているのはソフトバレエではなくThe XXXXXXで、歌っているのは遠藤遼一ではなく山田孝之だった。ソフトバレエ、人生で初めてCD買ったバンドの一つですけどね。

 

さてカネコアヤノ。晴れていれば海に沈む夕陽を見ながら、という最高のシチュエーションだったわけですが、残念ながら雨は止まず。しかし、カラッとバンカラなバンドサウンドはメインステージのやたら重厚な音とは対照的に、黒塗りの高級車を単車で追い抜いていくような風通しの良さがあった。乙女心の機微がわからないおっさんなので、音源をちゃんと追えていないのですが、「とがる」「天使のスーパーカー」はやっぱり胸ぐらをつかんでくるような良さがあった。

 

いよいよ大トリ・長女お待ちかねのKing Gnuの登場。次女と私は後ろの方に下がり、キャンプサイトのあたりから見学…してたんだけど、降りしきる雨のせいもあってか、どんなに離れても仮設トイレの匂いが追っかけてくるのよね…。ライブ終わってから大観衆と一緒に移動するのも大変そうだし、途中で離脱して遊園地に戻る。するとディスコステージではゴリゴリにハードなミニマルテクノがかかっていて、二階のベランダみたいなところで半ばやけくそで踊った。気持ちよかった。ちなみにこの日は車だったのでシラフだ。そしてDJが世界のKEN ISHIIだったことを知ったのは、翌日の昼になってからだった。

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というわけで、三日間の森道が終了。

今年のラインナップは昨年までとは微妙に趣向が変わったので、そこまで行かねば!って感じにはならなかったのだけれども、佐野元春抱擁家族GUIROと各日に見逃せないアーティストが出演することから、初回からの皆勤記録を伸ばしてしまった。

このままロックインジャパン化が進んでしまうとちょっと足が遠のくかもしれないけど、私と家族にとっては定点観測的というか、毎年つける柱の傷というか、変わっていく家族のありようを知るイベントでもあるので、とりあえず来年も楽しみにしたいと思います。

 

※写真が少ない&イマイチなのは「傘禁止・撮影禁止」と言う規制が厳しかったため、であります。傘は常識としても、いまだに撮影禁止って…。