「君がいないことは 君がいることだな」
愛する人の不在、その受容と再出発を、たったワンフレーズで表現しきってしまった名曲が、桜の咲く季節に届いた。
長き不在の続く岡崎京子のイラストを大胆にあしらった、ピンク色のジャケットに包まれて。
この意表をつく、それでいてまっすぐな愛情あふれるアートワークに、聴く前から強く心を揺さぶられてしまう。
そして、二曲目に収められた、ラブリーサマーちゃんによるリミックス。
「酔っ払って、売っぱらって、忘れても、どこにも行けないようだ」
原曲のきらびやかな部分をそぎ落とし、ある男のモノローグのように歌われる春の日の喪失感。
しかしそこに、はかなげな女性の声がそっと重なり歌われるあのフレーズ。
「君がいないことは 君がいることだな」
その瞬間に広がる、新たなストーリー。
ここにいない「君」も、どこかの空の下で、桜を見て同じことを考えている。
僕も君も、一人ではない。どんな時も、何があろうとも。
そう呟く男の姿が目の前に浮かび上がって来るのです。
このシンクロニシティの力強い肯定。偶然を超えるスーパーラブ。
天才かよラブリーサマーちゃん。
そしてこのシングルが届いた3月は、6年前にとても多くの、とても悲しい別れがあった季節でもある。
その当事者ではない俺が軽々しいことを言うわけにいかないけれども、この曲の持つ強く優しい力が、一人でも多くの人に届くといいな、と思っています。