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ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

宇宙・日本・渋谷WWW スカートワンマンライブに行ってきた話

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愛知県からはるか300キロ、スカートワンマン@渋谷WWWに行ってきました。

 

どうしてもこの日のワンマンだけは観ておきたかったのだ。

 

その理由はいくつかある。

 

このところのどうしようもなく退屈な生活を生き抜くための希望が欲しかったこと、最新作「静かな夜がいい」で感じた極上グルーヴを生で体感したくなったこと。

 

でも一番の大きな理由は、大好きなスカートをスカートを大好きな人たちだけがいる空間で観てみたかったから、という気がする。

 

せっかく東京にきたのだから、スカート聖地巡礼とばかりにココナッツディスク池袋経由で気分を盛り上げてから会場へ。


チケットはソールドアウト。
この会場いっぱいのお客さん全員が、スカート好きという事実にクラっとくる。
善人率100%。間違いない。


SEのトーキングヘッズに乗って、スカートの面々がオンタイムで登場。
一曲目は2010年のファーストに収録された「ゴウスツ」。

 

ゴツゴツした異物感が新鮮なインパクトを生んでいたレコードの音源とは対照的に、滑らかかつ情感豊かに鳴らされるバンドの演奏。

 

しかし何と言っても圧巻なのは澤部渡のボーカル。
まさか彼の歌に、こういう表現を使うことになるとは思わなかったけど、艶やかでセクシー。その言葉に尽きる。


これまでスカートの魅力の一つは、天才的としか言えない楽曲と、一方でどこか不器用でぶっきらぼうなボーカルのアンバランスさにあると思っていた。
そこに、どんなに強く願っても決して満点を取ることができない自分自身の姿を勝手に投影していたのかもしれない。

 

でも、それは俺の思い違いだったのだ、たぶん。
澤部氏は、最初から満点を取る気だったし、取れる人だったのですよ。

 

そんなふうに、今までのスカート観を根底から揺さぶってくるほどに、この日の澤部渡とバンドは完璧だった。

彼がその歌詞とメロディに織り込んだ、複雑すぎる感情の起伏。
それを時に慈しむように、時にロックスターのような奔放さで、表現し尽くしていく。

 

シリウス」「アンダーカレント」が鳴らされた瞬間に会場を包みこむはかないキラキラ感、あるいは「セブンスター」「ガール」で放たれたソウルフルな咆哮は、人工衛星からでも確認できたはずの眩さ。
思わず大きな声で、「宇宙・日本・渋谷WWW!」と叫びたくなるような。


そしてこの五人(と、トリプルファイヤー鳥居氏)が放つ光に照らされた、観客の美しさよ。
「ストーリー」の時についうっかり会場を見回してしまったら、ウルウルになっている人がいっぱいで、その光景になんかもう…。

 

ともかくこの日のステージには、いつもと変わらない顔をしてるけど、俺が今までに見たことのない、堂々たるスカートがいたのです。

 

その感慨を利いた風に表現させてもらえるならば、青年が大人になる瞬間。
そういうものを目撃した気がしている。

 

そうなると、心配性のオッさんの常として彼らが「もうやれることは全部やったんで、解散します」とか言い出しやしないかと先回りしてしまうわけですが、新曲の「ランプトン」「離れて暮らす二人のために」の王道ポップ感の前ではただの杞憂。

それよりもむしろ、また一段と大きくなった(ように見える)澤部氏の健康を心配するべきだろう。

 

ともかく、たっぷり2時間、怒涛の全30曲。
でもまだ聴きたい。まだ食べられる。
だってまだ「ともす灯やどす灯」も「どうしてこんなに晴れているのに」も「都市の呪文」もやってないんだから!
若干29歳にして、この膨大な名曲ストックは一体…。


澤部渡の才能になすすべもなく寄り切られた。そんな夜だった。

 


余韻に浸りつつ、帰りの深夜バスでは「The first waltz award」をずっと聴いていた。まだ暗い早朝に着いた駅前にはタクシーが一台もいなかった。極寒の中を1時間歩きながら「CALL」を聴いた。


たぶんこの日のことは一生忘れないんじゃないかな。