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ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

布団の中で考えた。 牧村憲一著『「ヒットソング」の作りかた』

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あけましておめでとうございます。

昨年末はまさに仕事納めの日に熱を出して、風邪ひくタイミングまでサラリーマンかよ…と力なく自分に突っ込んでおりました。

 

でも本が読めないほどの体調ではなかったので、布団の中で牧村憲一著『「ヒットソング」の作りかた』を読了。

 

大瀧詠一に薫陶を受け、山下達郎竹内まりやを世に送り出した人物が、後にフリッパーズギターおよびトラットリアの黒幕だったとは知りませんでしたが、そんな人の語る現場の話が面白くないわけがない。

 

私のような日本のポップミュージックラバーは全ページ必読的エピソードが満載なのだけれども、特に「い・け・な・い ルージュマジック」で坂本龍一忌野清志郎のコラボレーションを実現させるまでの話は若かりし二人の表情が浮かんでくるようでグッときました。


さらに、牧村氏のトラットリア時代に名前の出てくる若き宣伝担当者が、今は日本のインディーシーンの一翼を担うfelictyレーベルのプロデューサーという事実に鑑みれば、はっぴいえんどから始まる40年に亘る地下水脈の生命力を感じずにはいられない。


それにしても、鈴木慶一大貫妙子矢野顕子南佳孝といった錚々たるミュージシャンが新宿ロフトに出演していた1976年と、スカート、ミツメ、D.A.Nにネバヤンといった才能と音楽愛に溢れるミュージシャンがライブハウスにひしめいている2016年。
どこか似たような状況にある気がするのはワタシだけだろうか。

 

ただ、1976年のミュージシャンたちは、(牧村氏のような大人たちの尽力もあり)ラジオ、CM、ドラマといったマスメディアを活用することで、その才能に見合った成功を収めることができた。

しかし、マスメディアの影響力と音楽の価格が下がってしまった2016年において、若き才能たちはどうやって世間から発見されるのか、どうやって経済的に報われるのか、その道筋がなかなか見えない。

そういう意味において、多くのミュージシャンを表舞台に引っ張りあげてきたSMAPの解散は残念だったなと思うし(次のアルバムには澤部渡の名前がクレジットされると信じていたのに!)、ストリーミングメディアの発展を活かして、東京インディーシーンをアジアに広げる枠組みができないかしら、とか夢想してみたり(落日飛車とヒョゴの影響)。


でも、無責任な一人のリスナーとしては、今の音楽シーンはこの40年の中でも相当に面白い時期であることは、この本を読んで改めて確信。


2017年も素晴らしい音楽を届けてくれるミュージシャン、レコードレーベル、レコード屋さんに感謝と敬意を捧げつつ、私は私のできる範囲で貪欲に攻めていきたいと思うのであります。