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ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

関美彦のライブを見たことがあるかい?

 
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関美彦というミュージシャンの名前は、熱心なサニーデイサービスのファン以外にはあまり知られていないかもしれない。
 
私がその存在を初めて知ったのは、曽我部恵一が99年に発表した"昨日、今日、明日"という本の中に収められたエッセイ。
住んでいたアパートを追い出され、曽我部氏の部屋に間借りをしていた、”とてもおだやかな種類のミュージシャン”として。
 
 
そして初めて彼の音楽を聴いたのは、今から10年近く前、下北沢のCity Country City。
BGMで流れていた曲が気になって、思わずお店の人に尋ねてしまった作品が"スピルバーグ"だった。
 
 
それからこの曽我部恵一プロデュースのアルバムは、私の愛聴盤として存在し続けているわけだけれども、ライブは一度も見ることないまま長い年月が流れ、ついにタイミングがあったのが、先週の夜、下北沢に新しくできたライブバー・ラプソディーでの3マン。
 
 
共演のダニエル・クオン、Suppa micro pamchopの後に登場した関美彦氏はピアノの弾き語り。
 
できればバンド編成(ベース伊賀航、ドラム北山ゆうこという豪華メンバー)での演奏が観てみたかったというのが正直なところだったんだけど、そんな気持ちは歌が始まってすぐどこかへ行ってしまった。
 
年齢を感じさせないと言うよりも、むしろ過去のレコードよりも若返っているのではないかというほど甘く澄んだ歌声はシンプルなピアノによって引き立てられ、初夏の夜に溶け込んでいくかのよう。
 
シティポップという言葉が音楽を粗雑にカテゴライズする危険性を含んだものであることは重々承知しているけれども、それを「端正なコードとメロディで街の息遣いをメロウに切り取る音楽」と定義づけるならば、関美彦の音楽こそが本物のシティポップだ、と言い切ってしまいたくなる。
 
そして、関美彦というアーティストの魅力は、楽曲の美しさと同時に、しなやかなユーモアと、性と死の気配すらも感じさせる点。
 
この日も具体的なことを書くと差し障りがある歌詞の内容を実に飄々と説明する姿を見て、「あぁ、関美彦とは実在するアーティストなんだな」と妙にしみじみ実感することができた。
 
 
わずか40分弱の短い演奏ではあったものの、現時点での最新作"Hawaii"に収録された"Bloody rain"の美しさを何度も思い返しつつ帰路についた。
 
 
なお、この日はダニエル・クオンという素晴らしい新たな才能に出会うこともできたわけだけれども、それはまた別の話ということで。
 
 
(関さんの書いた小説"Boy meets girl "はローズレコードのホームページで読めます http://rose-records.jp/artists/yoshihikoseki/