ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

Alfred Beach Sandal主催 Groove comedy Vol.3に行ってきました

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アルフレッドビーチサンダルが主催のイベント"Groove comedy Vol.3"に行ってきました。

おやじ狩りを警戒しながらセンター街をくぐりぬけ、渋谷wwwに潜入。


お出迎えしてくれるDJはcero高城氏。
なんせ大人気バンドのフロントマンですから、女の子がブースを取り囲む感じかと思いきや、みんな普通に音楽聴いてますね。
おじさんの若い頃はもっとギラギラした空気が漂っていたものですけどね。
いや、こっちの方がクールでいいですね。


さて、そのSEのボリュームが下がると、会場後方が何やら騒がしい…と思ったら、まさかのチンドン屋スタイルでHei Tanaka一座が入場。
大きな声で何やら歌い、騒ぎ、フロアを練り歩いた後、ステージへ。

この意表を突いた演出。
なかなかやるやないか、タナカヘイ。
でも、小鳥美術館の館長さん(ギター)、ちょっぴり恥ずかしそうにしてたで。


サックス3本とベース、ギター、ドラムの編成。
Tanaka氏はベースを弾くのだけれども、なんといいますか、ベーシストにあるまじき躍動感。
迷惑なくらい所狭しと暴れ回りながら弾きまくる。
しかも男前だからこれが絵になる。ロックスターだな。

ちなみにアルトサックスはあだち麗三郎、ギターは小鳥美術館の牧野館長。
つまり、先日のGuiroのライブメンバー(前日に知ったんだけど)。

この二人が参加しているということから分かるように、一筋縄ではいかない音楽でありまして。

基本はファンク・ソウル的なインスト。
しかし、ブラックミュージックのグルーヴに不可欠な「間」など一切なし。
押して、押して、また押して、という過剰さで隙間を塗り潰していく様が豪快。

洗練とはほど遠い押し付けがましさではあるのだけれども、そこは腕利きミュージシャンが要所を締めていくので、オッさんも楽しめる感じになっている。

最後にやった小鳥美術館のカバー(相当ムチャしやがって…な感じ)が唯一の歌モノ。
これがとても良かった。
過剰なエネルギーが歌に集中して、聴き手のストライクゾーンにガツンと入ってくるようで。

こりゃCDでも聴きたいぞ、と思いきやまだ一枚も音源は出てないとのこと。

しかし、ギターの牧野氏はこの一ヶ月間で三度、それぞれ違うバンドで見てるけど、なんでも弾けちゃうスーパーギタリストだな。
それでいてイマイチ宴会で盛り上がりきれないサラリーマンみたいな風貌にもジワジワきてる。


さて、続いては鎮座DOPNESS。

まず驚いたのが非Bガール女子からの人気の高さ。
名前からしてこんなに悪いラッパーなのに。
Cero高城氏よりよっぽどキャーキャー言われてるぞ。


この日は、DJもなし。自分でリズムマシンのボタンを押してラップする超シンプルなスタイル。

イッセー尾形が一人芝居の途中で突然ラップしだす感じ、とイメージしてもらえれば。

普段はどういうやり方なのかわかんないけど、Groove comedyというコンセプトにピッタリのパフォーマンスでした。

とは言え、ラップをしてない時のしゃべりは相当グダグダ。
それでも女子は大ウケだし、なんかぬるくね?と最初は若干クエスチョンマークだったんですけど、ひとたびビートが鳴り出すと、もう言葉と身体がリズムに吸い付くようなラップが強烈。リズム感なんてもんじゃ言い表せない身体能力の高さ。

さすがフリースタイル王者。

しかも、この人、よく聴くと声そのものがいいんですよね。倍音が多いといいますか。声量もあるし。
曲の途中でやったJBのモノマネ、結構シリアスなカッコよさがあったと思いましたけどね。みんな笑ってたけどさ。

とにかく、ミュージシャンというよりはブラジルからやってきた助っ人ストライカーのような凄みがありました。
(すぐれたラッパーを見ると、つい音楽家以外のものをイメージしてしまう)


そういやこの人、森道市場のフリースタイルバトル出るんだった。
トリプルファイヤー吉田氏は生きて帰れるのだろうか…。


さて、トリはイベントのオーガナイザーでもあるアルフレッドビーチサンダル。

いや素晴らしかった。

ギター、ウッドベース、ドラムというシンプルな3ピースとは思えない、PAも駆使した立体的で奥行きのある音。

安易に例えを用いることを許して頂けるならば、フィッシュマンズに通じるような世界があるし、その歌声はGuiroの高倉一修氏に共通する部分がある。

しかし、凡百のフィッシュマンズフォロワーと異なるのは圧倒的な曲の良さと、ある種の隠微さを漂わせているところ。

もうふた回りくらい大きい会場でも、その魅力が隅々まで届くんじゃないかという歌と演奏の強度。

最初の一曲目から引き込まれました。

ま、歌い終わると嘘みたいにそのオーラが消えてしまうルックスではあるんですが、それはまぁいいじゃないですか。

しかし聞くところによるとこのビーサン氏、東大卒だそうで、グッズで文房具売ってましたよ。
というわけで、オザケンのファンも聴いてみてください、騙されたと思って。

話が逸れましたが、このビーサン氏を支える
サポートの二人の演奏も素晴らしい。

特にドラムの上品なルックスと相反する暴力的な音がカッコ良かった。

スカートのバンドもそうなんだけど、優れた楽曲で盛り上がった気持ちを、身体でアウトプットできる、身を委ねることのできる演奏があるというのは、聴き手として本当にありがたいことですよ。

「グルーヴは、オーディエンスへの思いやり」
そんな標語が頭に浮かびました。

ともかく、例によって遅れてきたオッさんが言うのもなんですが、もっと多くの人に聴かれるべき音楽だと思います。

あい。

そんなわけで、足がパンパンなりながらも無事終了。いいものが観れました。


なお、wwwのトイレにはスカートのポスターが2枚も貼ってあり、用を足しながら感無量になってました。

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