ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

D.A.N.のデビューアルバムを聴きました。

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最初にはっきりさせておきますが、このバンドのメンバーがまだ22歳とかいうハナシ、俺はまったく信じてませんからね!

と、言いたくなるほどの、洗練された色気とオリジナリティ。
 
 
「ダンスとロックの垣根を超えた」という音楽は数あれど、そこにファッション性まで備わっているところがなにより衝撃的。
 
 
洒落たカフェや洋服屋さんでかかっていても違和感がない日本語のエレクトロミュージックなんて、今までなかったんじゃないかと思うんですよ。
 
ファッションに疎いワタシが言ってもぜんぜん説得力ないかもしれないけど、難攻不落の連立方程式をパシッと解いてしまった感じがあるんですよね…。
 

AOR感すら漂わせた美しい機微に富んだ、メロディと歌声。
 
刺激と即効性だけの浅薄な音を完全に排除した、電子音と生楽器による巧緻なレイヤーの積み重ね。
 
安直な四つ打ちではなく、跳ね回る太いベースラインを中心とした知的かつ肉体的なグルーヴ。
 
サウンドと呼応した、地上から少しだけ浮いている、日常とあちら側の境界線を描写したような歌詞。
 
こうしたそれぞれの特長が、一つのかたまりとして有機的に結びつくことで、フロアでもリビングでも機能する音楽になってると思うんですよね。
 
 
しかし、これをついこないだ成人式を迎えたばかりの若者たちが作ってしまうとは…。
きっとミュージシャンとしてはもちろんのこと、聴き手としての能力も図抜けている、ということだと思うのですが。
 
 
音楽性はまったく異なりますが、25年前にフリッパーズギターが登場した時も、当時の大人は同じようなことを思っていたのかしら、なんてことを考えてしまいましたよ。
 
もともと6人組だったのが3人に減った、というエピソードもフリッパーズ的だし。
(そしてあの二人が2016年に音楽を作ったら意外とこういう感じになるんじゃないかという妄想も…)。
 
 
そこでブックレットのクレジットに目を向けると、共同プロデュースに葛西敏彦氏という名前が。
スカートの新作でもレコーディングエンジニアとして名前があったぞ。
 
 
D.A.N.がフリッパーズならば、この人は吉田仁?と調べてみたら、近年の重要作品を軒並み(蓮沼執太、寺尾紗穂トクマルシューゴetc.)手がけてるじゃないですか。
ヤバいぞ、なんか。
 
というわけで、同じく葛西氏が手がけた、森は生きているの"グッドナイト"を今さらながらにちゃんと(CDで)聴きだしたところ。
これもヤバいやつじゃないか…。
 
 
この一枚のアルバム、一組のミュージシャンから始まる芋づる感、あるいはドロ沼感を、シーンとかカルチャーとか呼ぶのかも。
 
いい時代がきているのかもしれないっすね。
(お財布には厳しいけど!)