ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

山下達郎ライブ@長良川国際会議場を夫婦放談形式で振り返る(後編)

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前回に引き続き、達郎ライブ経験初心者同士の、新春夫婦放談をお送りします。

【ネタバレあり】です。


 -芸術、職人芸あるいは神事の間で-

女房「そういえば、"クリスマスイブ問題"以外 にも、MCでちょくちょく『熱心だけど通ぶったファン批判』をしてたね。もちろん、愛情もこめつつ、だけど」

ドリーミー「我々のような一見さんも、常連さんも、等しくみんなに楽しんでもらいたい、という優しさなんじゃないですかね?マニアだけが盛り上がるライブじゃ、ビギナーは居心地悪いじゃないですか。

女房「なるほど」

ドリーミー「あとは、単純に『とにかく音楽に関してはお前らより俺の方が詳しいんだからガタガタ言うな』という負けん気というか」

女房「ドリーミーさんもよく怒ってますよね、仕事で誰かに文句言われると」

ドリーミー「ええ、馬鹿に上から目線で挑まれると一番ムカつくんですよ…って、やめてください、そういう話は。達郎さんはそんな人じゃないですよ、たぶん。しかも、6万枚もレコード持ってるそうですから」

女房「でも、通なファンでもないくせにライブの感想をブログに書くような客も絶対に嫌われてるよね」

ドリーミー「どうせ誰も読んでないから大目に見てください…」


女房「『ここから席を立っていい曲』が決まっていることにも驚いた。途中でお客さんが一斉に鳴らすクラッカーも」

ドリーミー「"Let's dance baby"ですね。ザ・コレクターズにおける"リグレイチューインガム"みたいなものですかね。ちなみにあそこからアンコールまでの流れは、たぶん30年間ほぼ一緒なんじゃないかと。88年に出たライブアルバム"JOY"にもそのまま収録されてますから」

女房「え!あのマイク無しで歌うところとかも?」

ドリーミー「しかも昔はもっと長く、こってりやっていたという話を長年のファンの方から聞いたことがある。そういうお約束の流れに、その時々のアレンジを加えていく、と。で、今回は大瀧詠一メドレー」

女房「私のような若輩者でも盛り上がったので、古くからのファンの方にはたまらなかっただろうね」

ドリーミー「それにしても、あの終盤のメドレーと、例のアカペラコーナー、それに"クリスマスイブ"を合わせると、軽く1時間半くらいになるよな」

女房「ご本人は『まったく演奏したことがない曲が多い』と嘆いておられましたが…」

ドリーミー「しゃーないよね。もう入れる余地がない。でも、もうあれは老舗うなぎ屋の秘伝のタレみたいなもので絶やすわけにはいかないんじゃないかと」

女房「職人芸、みたいなもんですか」

ドリーミー「『アルチザン(職人)』というタイトルのアルバムもあるくらいですからね」

女房「職人芸としては本当に見事としか言いようがないんですが、芸術としてはそれでいいんですか?予定調和はダメ!ゼッタイ!では?」

ドリーミー「でも、ご本人は自分の音楽は芸術なんかじゃなくていいと思っているんじゃないでしょうか。どちらかというと古典芸能の世界を極めたい、みたいな。でも個人的にはもう神事の域に達してるという気がした。年に一度、達郎様を拝むと幸運になるとか、若返るとか、宝くじが当たるとか毛が生えるとか。それくらい人間離れしたシロモノだし、ファンの人たちもそれくらい楽しんでるし」

女房「確かに私も元気をもらいました。きっと同世代の方ならなおさらだよね。そう考えると、1万円のチケット代も高くないね」

ドリーミー「ええ、俺が払いましたからね、二人分」

女房「その他、最後に何か言いたいことは?」

ドリーミー「芸術じゃないとか言ってしまいましたが、そういう部分は、今回は"Dancer"の一発で満たされました。個人的にはあれだけで5000円分の価値はあったと思います」

女房「今はお腹いっぱいだけど、私も観れて良かった。冥土の土産になりました」


-fin-