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ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

電気グルーヴとアンヴィル。二つの歴史を辿る旅。

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俺が東京インディーの若い奴らに媚びてばかりの若づくりおじさんだと思ってもらったら困るぜ。


と、聖☆おじさんとしてのルーツを再確認すべく、電気グルーヴのドキュメンタリー映画"DENKI GROOVE THE MOVIE"を初詣感覚で見てきました。


なんせ12歳の時、近所のCDレンタル屋さんに彼らのデビューアルバム"フラッシュパパ"を入荷してもらうようにリクエストしたワタシですから、この映画を見逃す手はない。


CMJK脱退全裸記者会見(宝島で読んだ)・オールナイトニッポン(第二部から聞いてた)・97年フジロック(凍死寸前だった)etc.と、わが青春として美化されていた記憶の数々も、客観的に見ればただの恥部という残酷な事実を新年早々スクリーンサイズで確認させられる倒錯感を堪能してきました。



ま、それはともかく、伝説と呼ばれるグループは、得てして活動期間が短い(気がする)。

キャロルとシュガーベイブは2年半、YMOは5年、フリッパーズギターは3年で解散。


美しい記憶だけを残して、さっさと勝ち逃げる。
これがロックンロールバンドが伝説になるための常道。


その中で、四半世紀にわたって前進と停滞を繰り返し、いつの間にか日本の音楽史に名を残すまでの存在となった、電気グルーヴの異形ぶり。


しかも彼らは最初から才能と技術に恵まれたミュージシャンだったわけではなく、音楽と悪ふざけが同価値と思っているかのような、顔を白塗りにしてふざけてるクソガキだったわけですから。


よってここまでの過程は、本当に誰も想像できなかった稀有な物語だったと思うし、そういうアーティストの正史が作られたことは、とても意義のあることだと思いました。


しかし、本当におもしろいのはここに描かれなかった、無責任に語られるオーラルヒストリーにあるんだろうけれども。

でもまぁ、オモテがあっての裏歴史ですからね。



さて、電気の映画のことが頭にあったからかどうか、数日後、09年に公開された"アンヴィル!〜夢を諦めきれない男たち〜"のDVDを借りてみました。


こちらは泣かず飛ばずの30年選手のヘビメタバンドに、2年間密着撮影したドキュメンタリー。


過去のつかの間の栄光が忘れられなくて、そしてこのバンドで演奏するのが大好きで、音楽とは関係ないパッとしない仕事をしつつ、家族に迷惑をかけながら、なんとかもう一花咲かせようと奮闘する50代のおっさんたち。

でももうヘビメタなんて時代じゃないし、長髪の頭頂部は相当うすくなってるし、そしてなによりビジネスが下手というか戦略性が無さすぎるというか、要は純粋すぎるバカなんだ、このおじさんたちは。


とは言え、その純粋さゆえに、彼らは30年間音楽に全てを捧げてこれたわけだし、そもそもこの世でアーティストと呼ばれる人々の全てが、多かれ少なかれ、「バカ」な部分があるわけで。


そう、バカは尊い。


堅実な人生設計なんてものは、アーティストにもスポーツ選手にもなれない、そして人生を賭して打ち込むものを見つけられなかった、俺みたいな凡人が立てればいいものなんですよ。


と、観終わった後にはなんだか謙虚な気持ちになったりしました。


ちなみに監督はもともと彼らのローディーだったそうだけど、そういう親密さを微塵も感じさせない被写体やヘビメタという音楽に対する接し方がクールで良かった。

そしてエンターテイメントとしてのカタルシスも備えているし、微妙な古さだけど、今でも観る価値のある映画だと思いました。