ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

人間失格読んでGREAT3のことを考えた

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出張シーズンが始まりまして。

土曜日なのに旅行客と一緒にボーッと新幹線乗ってます。
 
 
 
そんな旅のお供は太宰治の『人間失格』。
 
30代も後半になって、初めて読みました。
まさに恥の多い人生であります。
 
 
 
読んでる途中で、「これは完全に"Romance"の世界なんではなかろうか」と思いが強まっていき、apple musicでダウンロードして聴き直しているところ。
 
 
 
 
"Romance"というのはGREAT3が97年に発表した傑作アルバムのことでありますよ。
 
 
 
 
特にその特徴が色濃いのが、10曲目の"影"。
 
 
 
自分の考える人間のあるべき姿と、現実にやらかしちゃってる女性問題、強すぎる自意識。
 
この三者のギャップに苦しむ姿や、その根底にどうしても逃れられない家父長的価値観があること。
 
そして、それらに対する本人の罪の意識と苦悩の深さが第三者にはまったく理解されないであろうところも。
 
もちろん、片寄明人の歌う苦悩の正体は分からないわけだけど、多くの凡人から見れば「贅沢な悩み」とか「甘え」と片付けられてしまいそうな、ある種の「中二感」が、曲の行間からにじみ出ている。
 
 
 
 
 
で、どちらも(本人にとっては)巨大な葛藤を抱えつつも、文体あるいは曲調は極めてポップというところも一緒。
 
 
 
 
逆に言うと、太宰治がこの物語に多くの文字数を使って綴ったテーマのほとんどは、この5分間の楽曲に(しかも歌詞は数行しかない)凝縮されているんじゃないかと。
 
あらためて、ポップミュージックというフォーマットが内包できる情報量の巨大さを感じましたよワタシは。


つーか、太宰より片寄の方がスゴくね?

というバチあたりなことまでも。

 
 
さっき駅弁と一緒に飲んだ昼ビールの影響による誇大妄想かもしれませんが。
 
 
 
 
 
そう言えば、このアルバムにインスト曲が多いのは、片寄氏のメンタルが弱り過ぎて歌詞が書けなかったから、という話を読んだことがある。
 
その後の人生まで太宰治と同じにならなくて本当に良かったと思います。
 
 
 
いずれにせよ、夏の気配が残っているうちに聴き返しておいて良かったな、としみじみ。
 
 
 
ちなみに、8曲目の"Lovemen"って"man"じゃなくて"men"なのな。あんな歌詞で。ワイセツにもほどがあるだろ、と言いたい。