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ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

【長文・退屈注意】Apple musicがやってきた!ヤァヤァヤァ

ストリーミングとか全然興味なかったワタシですが、たまにはride on 流行!ということで、Apple musicを導入してみました。


手順にしたがってやってみたんですが、f:id:dreamy_policeman:20150708203330p:image
この画面のまま固まったり、

f:id:dreamy_policeman:20150708203348p:image
はっぴいえんどのアートワークが大川栄策に変更されたり…。



などなどのトラブルに見舞われながら、二日がかりでなんとか導入完了(PCのライブラリとかグチャグチャになってるかもしれないんだけど、とりあえず見てみぬフリをする)。



まず驚いたのが、オンラインでのストリーミング再生だけじゃなくて、オフラインでのローカル再生ができてしまうという点。



これ、ワタシのようにリスニング環境の9割がiTunes経由の人間にとっては、CDを買う意味がほとんど無くなってしまうってことなんですが…。


こんなのいいの?ホントに大丈夫なの?

とか言いながら、出たばっかりのKendrick Lamar聴いてる電車の中。


ヤバいなこれ…。

それにしても、Apple musicの30,000,000曲という膨大なライブラリーを前にすると、俺のハードディスクの中に入っている20,000曲が実に価値のないものに思えてしかたがない。


しかしこの20,000曲のチンケライブラリーだって、それなりの時間と労力をかけて積み上げてきたものなわけで、Appleは俺の半生を全否定する気かよオイ、と思わずにはいられないわけですが、もっと泡を食ってるのは音楽業界にいらっしゃる皆さんだと思います。




今回は誠に余計なお世話ながら、産業的側面からApple Musicというものを(雑に)考察してみたい。






2014年の日本国内におけるCDの生産額は2,500億円だそうです。



CDを買う年齢にあたる人口をざっくり7,000万人と仮定すると、一人あたり年間約3,600円弱しか音楽に払っていないことになります。



そう考えると、Apple musicの年間で約12,000円という料金は、多くの人々にとっては今よりもたくさんお金を払うことになるわけで、うまく普及すれば音楽業界全体での収益は増える可能性がある一方、このご時世、それほど音楽に興味がない人達の財布の紐を緩めさせるのは至難のワザという気もします。





しかし一方で、月額980円を割高と思わない人たちも存在します。




それは、ワタシのように月に何枚も買うような、いわゆるヘビーリスナーであります。



こういう層はかなりの割合でApple musicに加入すると思われますが、そうなると、CDの購入額は減少する可能性が高い。聴く時間もなくなるし。



要するに、Apple musicに加入するのはヘビーリスナー中心、しかも彼らが支えていたCD市場も売り上げを減らし、共倒れとなる可能性も大いにあり得るということであります。




このシナリオは悲観的すぎるかもしれませんが、少なくとも確実に言えることは、小売店(CD・レコードショップ)の売り上げはさらに減る、ということであります。



特に、Apple musicが特に豊富なライブラリを抱え、Apple musicに流れる可能性の高いヘビーリスナー層が主たる購買層である、洋楽の割合が高いショップのダメージはかなり大きいものがあるんじゃないかと…。



HMVがアナログ専門店をオープンさせたのもこういう流れを意識したものなんでしょうが、しょせんアナログレコードは車に例えるならクラシックカーなわけで、トヨタ車の代わりにはなりえない。

CDショップが今の業態・規模を維持することはたぶん無理でしょう。


とりあえず、CD・レコードショップは新たな食いぶちをより早く確保する必要がありそう、というか、実店舗の店頭で新しい音楽に出会う喜びを知る世代の人間としては、なんとか新しい付加価値を見つけてほしいと思います。
余計なお世話かもしれませんけど。



そう思うと、多くのアーティストが批判するAKB商法も、そのアーティスト様をエンドユーザーに届けるための流通網の維持に絶大な貢献をしているんだよな、と思ったり。



続きます。



まずはApple musicが、CD・レコードショップ(流通網)に大きなダメージを与えるであろうというところまで書きました。


一方でミュージシャンにどんな影響を与えるのか、これまた乏しい情報で乏しいアタマの体操をしてみたいと思います。



巷の情報によれば、Apple musicで1回再生されてミュージシャンに入るお金は0.6円とのこと。


これは演奏しているミュージシャンに対するいわゆるアーティスト印税に相当するものだけを指しているのか、作詞家・作曲家に支払われる著作権印税を含むものなのかよく分かりませんが、とりあえずここでは、0.6円/曲がAppleからアーティストが得られる収入の全て、という前提で考えてみることにします。




まず、現状の確認から。

各アーティストの契約内容によって条件は大きく異なるようですが、メジャーレーベルの場合、アルバムの作詞作曲を全部やったとして、CDの売り上げの10%くらいが印税としてアーティスト側に入ると思っておけば大間違いではないようです。


なので、アルバムが1万枚売れたとすると300万円。
バンドメンバーが4人いたら一人75万円。


え、こんだけ?


すでに印税でメシを食うなんてあり得ないご時世なんですね・・・。
(1万枚売れればオリコン上位にチャートインするくらいだから)






さて、前述の通り、Apple musicは再生回数によってアーティストの収入が決まります。



一枚のCDを買った人がどれくらいの回数を再生するのか、平均値がまったく分かりませんが、なんとなくの感覚として、手放すまでに15回くらいは聴くとしましょう。


あるアーティストのファンがApple musicで10曲入りのアルバムを入手した場合、のべ150回/人ほど再生するという仮定です。



この条件でアーティストの収入を計算してみると、

150回×0.6円×1万人=900,000円

が、アルバムが1枚売れた場合と同じ条件での収入になります。


メンバー4人で22万円/人????


こんなんじゃもうやってられないよぉ、コータロー君。


と、思わず加藤ひさし口調になっちゃうエゲツなさ。



「じゃ俺たちはApple musicで配信なんかしないよ。CD屋さんで、1枚3,000円で売ってもらうんだ!」

と思ったところで、すでにApple musicにやられてしまったCDショップは、すでに街から姿を消してしまっている…かもしれません。


怖いですね。


「しゃーねーな、解散して田舎に帰るか・・・」

そんなバンドが増えるかもしれません。


なんだかCD屋さんの話に続いて暗いストーリーになっちゃいましたよコレ。



でも、どうしても音楽だけで食っていきたいミュージシャンにも、まだ道はあります。

Apple musicのシステムに乗せれば、世界各国での配信も(CDを売ることに比べれば)容易にできるはずですから、日本にいながらにして海外マーケットで勝負に出ればいいわけです。


YMOは結成当初、「世界10ヶ国で1万枚ずつ売れるバンド」を目指したと言われています。

それと同じ道を進むということです。


とは言え、海外でもある程度のセールスがあったバンドは?と言われて思い浮かべられるのはコーネリアスピチカートファイブ少年ナイフといったごくわずかなバンドのみ。



あの宇多田ヒカルですら乗り越えることができなかった高くて厚い壁ですからね…。




でもとりあえず、海外での成功を目指して活動するアーティストにとっては、Apple musicのシステムは強い味方になってくれるかもしれませんし、海外進出を意識したサウンド・歌が増えてくるかもしれません。


問題は、そういうバンドをたぶんワタシがあまり好きではないということなんだけどそれはまぁ別の話としよう。



そもそも、アルバムの印税でメシを食うなんていう野望は現時点でも崩壊しているわけで、録音物はライブへ誘導するためのプロモーションツールという割り切りが進む、というだけなのかもしれませんが。





長いけど続きます。



この書いても読んでも書いてもつまんない不毛な話もいよいよ佳境。


最初にApple musicによってCDショップが立ち行かなくなる可能性があること。


続いてドメスティックに活動するミュージシャンの印税収入はさらに減少する一方、海外進出を志すバンドが増えるんじゃね?みたいなことを書きました。




今回は、じゃあこのシステムでAppleは儲かるのか?という点に着目してみたいと思います。



と言いつつ、この巨大なシステムの構築および維持コストなんて全く分かりませんので、月々980円という価格とミュージシャンへの支払い額のみに着目して、いつものように雑に勘繰ってみます。





価格は980円固定で、再生されればされるほどミュージシャンへの支払いが増えるシステムですから、胴元のAppleとしては再生回数は少ないほど儲かります。


食べ放題のレストランと同じですね。



なので、みんながどれくらい食べるのか(再生するのか)が損益のカギになります。



なので、まずは再生回数の平均値を考えてみましょう。



家や車の中で一日中流し続けるぜ、という使い方をする人もいるかもしれませんが、ユーザーの多くを占めるであろう学生・勤め人の場合は、通勤通学の時間にiPhoneで聴くというパターンがほとんどだと思います。


なので、彼らを基準に考えれば大きく平均から外れることは無い気がします。



通勤通学にかかる時間が平均120分/日、1曲の長さを平均4分と仮定すると、1日の再生回数は30回。1カ月では900回(実際には休日がありますが)程度となります。

なので、

900×0.6円=540円

というのが、Appleがミュージシャン側に支払う金額となり、

粗利は
980円-540円=480円
となります。


粗利率45%。
非製造業というか、IT産業としてはなかなかリアルな感じがする数字です。



この数字を出してみるまで、ミュージシャンへの支払い0.6円ってウソなんじゃないかと思っていたんですよ。安すぎて。


でも、多分ホントだな。という気がしてきました。



だって
仮にこれを1円に値上げしたら、

980円-900円=80円

しか粗利が出ませんからね…。

広告費を含めた先行投資や販管費を回収できるとは思えません(契約数次第ではありますが)。



また、先ほどは2時間/日の再生時間を前提にしましたが、これがもし3時間になったら再生回数は1350回/月。ミュージシャンへの支払いは810円。

粗利は980-810=170円 

率にして21%と半減します。



980円という価格は、Apple社にとってもシビアな水準のような気がしてきました。


もちろん世界のAppleですから、この基本メニューに、魅力的な有料オプションメニューを追加することや、全世界の顧客リストを活かした新規ビジネスは考えているんでしょうが。



しかし、一番つまんないシナリオとしては、

①圧倒的な企業体力で薄利ビジネスをガマンして継続

②既存の流通網や他の配信サービスが滅びるのを待ってから大幅値上げ

Apple music以外に選択肢のないユーザーのミュージシャンは渋々その高いコストと安い報酬を受け入れる

④音楽文化が衰退


なんて感じのやつ。



どんな形にせよ、それがミュージシャンと音楽を愛する人たちの利益に繋がるものであってほしいと願うばかりです。

雑な結論で恐縮ですが、今のところワタシが言えるのはこれくらい。


また途中経過を書くかもしれません。