読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

File81:サニーデイサービス "Sunny"

f:id:dreamy_policeman:20141218195953j:plain

記念すべき今年100枚目はサニーデイサービス4年ぶりの新作アルバム。



「東京」を聴けば高校への通学に乗っていた小田急線を思い出し、「愛と笑いの夜」と共に大学生活をスタートさせ、新宿リキッドルームの解散ライブを見届けた直後に就職して、四年前の復活ライブは妻とお腹の中にいた二人目の娘と一緒に観たという、いくつかの事実をかいつまんで並べてみても、「サニーデイこそ我が青春」という陳腐な表現から逃れられないワタシの人生。


そんな長い付き合いですから、このシンプル極まりない、というか、デザイン性とかビジュアル性といった価値観から遠く離れた、普段着丸出しのジャケット写真を見ても、「お互いもうそういう季節じゃないよね」とか「俺たち三人が集まって演奏するってことが大事なんだよね」という彼らのモードも瞬時に理解できてしまう(気がする)わけですよ。


とはいえ、そういう彼らの現在に誠実でリアルなロック感というのは尊重しなきゃならんことは分かるんだけど、やっぱり往年の小田島等のデザインが似合うあのキラキラ感、あるいはマジョリティーにやすやすと飲み込まれないよという書生感がないのは寂しいよね、という気持ちもあったりして、まぁとにかく色々な感情が交錯する中でプレイオン。



一曲目は「おせんべい」。


こんなゆるいタイトルのポップソングに何かをを期待する人が日本中で何人いるか分かりませんが、俺はもうイントロからの数秒で気持ちを持っていかれましたよ。


拙くて弱々しくてメロウ。
それでいて、一瞬で聴き手を現実から遮断されたもう一つの世界に閉じ込めてしまうような濃密な音。


そして、なぜ久しぶりにサニーデイサービスが帰ってきたのか、どうして三人で演奏するのかということを、小さな声で、きっぱりと宣言すると同時に、人生のどうしようもない一回性を肯定するような歌詞。


現実の重さをグッと噛みしめるように終わった前作「本日は晴天なり」の続きを、しっかり引き受けてくれたんじゃないかという感慨に耽ったのは俺だけじゃないはず。


とにかく、この一曲で勝負あり、という気がしました。



この決して派手とは言えない佳作が、音楽シーンに巨大な一石を投じたり、大量の若いフォロワーを生んだりすることはないかもしれないけど、間違いなく俺は次も、その次も、彼らの作品も聴くのだと思います。

そんなのただの惰性じゃん、と言われるかもしれないけど、サニーデイとは俺にとってそういうもんだからどうしようもない。そもそも、どうする気もないし。