ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

革命から疎外された者の目線から GEZAN「狂(KLUE)」について

ファシストと革命家。一見、対極の存在に思える両者だが、本質的には同義だ。彼らがシンパシーを寄せる対象が、ピラミッドの上部に君臨する特権階級か、底辺で暮らす弱者であるかという違いはあれど、誰かから何かを奪うことをいとわない暴力性や、頂点と底…

思い出野郎Aチームのパーティーに行った日

思い出野郎こそが日本一のパーティーバンドである。もうそう言い切ってしまっていいだろ、と言いたくなる最高の夜だった。 それはただごきげんな音楽でオーディエンスを盛り上げるということだけじゃない。ソウルミュージックというものが、パーティーという…

植本一子『台風一過』を読んだ

ようやく夏が去ってくれそうな気配が感じられた日曜日の夕方、家族で名古屋へ。ON READING で濱田紘輔さんの写真を受け取る。ちょうど3ヶ月ほど前、家族四人でわちゃわちゃ言いながら選んだ一枚。アメリカ西海岸を旅しながら、コインランドリーの風景を切り…

夏休みのこと 〜曽我部恵一・さとうもか・SAGOSAID ・あいちトリエンナーレについて〜

今年の夏休みは下の娘が定員オーバーで学童に入ることができなかったため、祖父母の力も借りつつ、私と妻が順番に仕事を休んで(あるいは家で仕事をしながら)学校と塾の宿題、自由研究、読書感想文、部活の送り迎えなどをやったりやらせたりしなければなら…

ロロ「はなればなれたち」とはなんだったのかを考える

さる6月29日、吉祥寺シアターにて劇団ロロの公演『はなればなれたち』を観てきた。 なんといっても私の観劇はこれで3回目、しかも過去2回はいずれもロロ。それでいてロロの劇団史にも詳しくない…という感じなので、今から書くことはまったくあてにならない、…

森道市場2019に行ってきました

今年も森道市場に行ってきました。 しかも三日間。 おかげで今は肩が、背中が、首が、もうガタガタなんですが(前の日記で「老いを感じない」などと書いた罰か)執念で備忘録を残しておきたい。 初の金曜開催となった1日目。 とりあえず、涼しい・空いてる・…

5月のこと。

この5月で41歳になった。 若い時にイメージしてた40代というのは、首まで砂風呂に埋められた人のように、仕事とかローンとか体力の低下とか、ほとんど身動きの取れない生き物であり、そしてたぶん実際はその通りのはずなんだけど、のしかかった砂の重さをや…

火の玉のゆくえについて 台風クラブ「火の玉ロック」

「うたのゆくえ」の余韻も未だぼんやり心に残る中、京都から台風クラブの「火の玉ロック」の7インチが届いた。 新曲のタイトルがジェリー・リー・ルイス往年のスタンダードナンバーと同じと知った時から、これはきっと広大なハイウェイを全速力でブッ飛ばす…

第二回うたのゆくえ(二日目)に行ってきました

地方分権のかけ声も今は昔、政治も経済も東京への一極集中の度合いを高めまくってる現代の日本。 しかしポップミュージックの世界においては各地方をベースにしつつも、活動全国区で活躍するミュージシャンやレーベルが目立つ。 その背景には在京メジャーレ…

そして人生は回る。 さとうもか「Merry Go Round」について。

老若男女を問わず聴く者すべての心を奪う名曲ばかりがずらりとならんだ、さとうもかのデビュー作「Lukewarm」。 待ちに待ったセカンドアルバム「Merry Go Round」は、あのつい口ずさみたくなる親しみやすさはそのままに、より深い感情が刻み込まれた楽曲が13…

Lee & Small Mountainsのラストライブを観た話。

リースモの音楽とは、キリンレモンである。 さわやかな甘さとほのかなすっぱさ。それでいてパンチのある炭酸が効いていて。なによりも、いつ飲んだって絶対に美味しい。 あまりにもさりげなく、優しい面持ちでいてくれるものだから、刺激的なコピーを引っさ…

新しさの洪水。長谷川白紙とCRCK/LCKSのライブを観ました。

一日中オフィスに篭って一つでも多く今年の言い訳と来年のはったりを考えねばならない年度末。 それなのに突如ぶち込まれた取引先との打ち合わせ。 うんざりしながら日時を確認すると、3月7日の夕方。場所は新栄…ってことはとうの昔に諦めていたCRCK/LCKSと…

人生のクロスロードが重なり合った夜。THE COLLECTORSのライブに行ってきた話。

自分でも信じられないことだけれども、最後にコレクターズのライブを観たのは今から12年前、2007年2月広島クアトロでサンボマスターと対バンした時だ。 そして最初に彼らを観たのはそこからさらに遡ること6年前の2001年。 会場はクアトロよりもずっと小さい…

スカートの新作をココナッツディスクで買った日のこと

さる1月22日、私は都内某所に出張していた。 仕事で東京にしょっちゅう来ているものの、レコード屋さんが営業しているような時間にフリーになることはめったになく、しかもその日はスカートの新曲「君がいるなら」のフラゲ日だった。 取引先での打ち合わせ…

20181228『サニーデイ・サービスの世界 追加公演 “1994”』

『サニーデイ・サービスの世界 追加公演 “1994”』に行った。 2018年5月に亡くなったドラマー・丸山晴茂の追悼ということで、メンバーは曽我部恵一と田中貴の二人きり。チケットにもわざわざ、「曽我部恵一(Vo/Gt)、田中貴(Ba)」と印刷してある。 とは言…

フリーペーパー「A Frozen Boy, Days in Love Vol.2」が完成しました!

Sons of Nice SongsもKENNEDY!!!は終わったけど、まだ俺の2018年は終わっちゃいない。 大晦日ギリギリ、2号目のフリーペーパー「Frozen boy,days in love ~おいぼれのためのディスクガイド~」が完成しました。 (最下部に配布店さま一覧かあります) 今回の…

Sons of Nice Songs Vol.2を開催しました!

関美彦さんとさとうもかさんにご出演頂いたSons of Nice Songs Vol.2、無事終了しました! 寒い中ご来場頂いた皆さん(遠く埼玉から来てくださった方も!)、K.Dハポンの皆さん、気にかけて応援して下さった皆さん、本当にありがとうございました。 なかなか…

関美彦を観てほしいいくつかの理由

関美彦さんとさとうもかさんを迎えて開催するイベント『Sons of Nice Songs Vol.2』、いよいよ開催まであと二週間となりました。 先日はもかさんのライブについて書いたので、今回は私がなぜ関美彦さんのライブを企画したいと思ったのか、ということについて…

決して消えない光がある サニーデイ ・サービス『Christmas of Love』について

サニーデイ・サービスから届いた、突然の、そして少し早いクリスマスプレゼント。 その名も「Christmas of Love」 日付が11月28日に変わる瞬間に配信されてからまだ約30時間くらいしか経っていないけれども、もう20回以上は聴いている。 そして最初に聴いた…

11月某日の日記。スカート、金魚注意報、中村佳穂。

11月某日 軽薄な音楽にイライラするけど、本物の渋さってやつにも尻込みする。 剥き出しの狂気に触れる勇気はないけど、無難なロックじゃ楽しくない。 山下達郎は好きだけど、竹内まりやは受けつけない。 このようにワタシという人間はとてもわがままな生き…

平成最後の大物ルーキー・さとうもかのライブを目撃した

「自信が確信に変わりました」 イチローを三振に仕留めたヤング松坂大輔の名言よろしく、さとうもか with Time Travelersの名古屋初ライブも、彼女の若き才能が規格外の大きさであることを証明するものでした。 皆さんも早く観た方がいいですよ。 以上。 と…

台風クラブ、GUIRO 、曽我部恵一 SOCIAL TOWER MARKETに行ってきました

先週の土日、つまり10月13日、14日は愛知県地方はフリーフェスかぶり。 豊田市ではTOYOTA ROCK FESTIVALが、名古屋ではSocial Tower Marketが。 どちらも毎年すばらしい出演者と開放的な雰囲気で、とても楽しみにしているイベントなのです。 しかも我が家と…

Dreaming Day Vol.7に行ってきました。

久々の更新です。 細田瑞樹さんという若きミュージシャンが主催、自ら出演しているイベント「Dreaming Day vol.7」に行ってきました。 この日でちょうどイベント開始から一周年とのことでしたが、1年で7回ということは、2ヶ月に一回以上のペースで開催って…

Sons of Nice Songs Vol.2を開催します!

じゃーん! 「いい音楽を、いい場所、意義ある組み合わせで」をテーマにしたイベントSons of Nice Songs Vol.2の開催が決定いたしました! 前回はリー・ファンデさん(Lee&Small Mountains)と東郷清丸さんが激アツなライブを繰り広げてくださいましたが、今…

リゾームライブラリーに行ってきました

我が家からバスに揺られることわずか10分、近所の図書館で開催されるリゾブラへ行ってまいりました。 トップバッターはホールでシャムキャッツ。 彼らのライブはほとんどちゃんと観たことがないので120%偏見なんだけど、シャムキャッツとは「ほんとは直球で…

スカート澤部vsミツメ川辺!「夏の庭」に行ってきました。

前回も書きましたが、夏休みの土日はとても忙しい。 だから土曜も日曜も両方ライブ行くなんてムリ!ゼッタイ!!な話なのです。それがたとえ澤部と川辺のゴールデンコンビであっても…。 ところが。 ライブ当日の朝、携帯を見てみると、届いてるんですよ予約…

ささやかだけど大切なこと 思い出野郎Aチーム『夜のすべて』

iphoneのメモ帳をめくっていたら、去年の夏に書いたままアップしていなかった文章が出てきました。 アナログ盤が出たことに便乗して一年遅れで掲載します。。。 ——————————————————— 思い出野郎Aチームの新作。 その名も『夜のすべて』。 2017年に聴いた音楽…

溶けそうなサマタイムに東郷清丸を観た話

8月です。 我が家の小学生たちはサマタイムのバケーション。いわゆる夏休みの真っ最中。 しかし親であるワタシは読書感想文やら自由研究やらプールやらおばあちゃんちの犬の散歩やらの手伝いで超多忙。しかもこの溶けるような暑さである。遊んでる暇も体力も…

真夏の夜の夢 GUIROとSweet Sunshineのライブを観た話。

とても悲しいことがあって、とてもライブを観る気にはなれなかった7月のある夜。 しかし、そうは言っても、なんと言ってもGUIROなのである。一年以上も待ち焦がれたライブなのである。 厳正なる抽選を乗り越えて得た貴重な機会を無駄にするという選択肢はな…

禁断の果実か、王道の名作か。広瀬愛菜『午後の時間割り』

二人の強い姉に囲まれて育ったトラウマのせいか、生まれてから一度も女性アイドルを好きになったことがない。写真集もレコードもライブ経験もゼロ。 「〇〇ちゃんが好き」と会ったこともない人に、好意や幻想を抱く動機がどうにもよくわからないのである。 …