ドリーミー刑事のスモーキー事件簿

バナナレコードでバイトしたいサラリーマンが投げるmessage in a bottle

関美彦を観てほしいいくつかの理由

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関美彦さんとさとうもかさんを迎えて開催するイベント『Sons of Nice Songs Vol.2』、いよいよ開催まであと二週間となりました。

 


先日はもかさんのライブについて書いたので、今回は私がなぜ関美彦さんのライブを企画したいと思ったのか、ということについて書いてみたいと思います。

 


私が初めて関美彦さんの音楽を聴いたのは実はかなり遅い。それは今から10年くらい前、場所は下北沢のCITY COUNTRY CITYだった。


親しげで洒落たメロディー、メロウ度100%の歌声、そしてセンスが良いフレッシュなアレンジにすっかり心を奪われてしまい、思わず「これ誰ですか?」と親切な店員さんに話しかけ、それが関美彦というシンガーソングライターが2004年に出した『Spilberg』というアルバムであるということと、曽我部恵一がプロデュースを手がけていることを教えてもらった。


そしてこのシンガーソングライターが、私の愛読書である曽我部恵一昨日・今日・明日』に、「穏やかな種類のミュージシャンで、気持ちのいい人間」として登場する人物であるこということも、すぐに知ることになる。

ともかくそれ以来、この『Spilberg』というアルバムは、私の生涯ベストアルバムの一つとして君臨し続けているし、既発作である『Sex,Love & Sea』、『Five Easy Pieces』も遡るとともに、今のところの最新作『Hawaii』も長い時間をかけて身体の中に染み込ませてきた。

 
この歌をぜひ、もっと多くの、東京以外の音楽好きに聴いてもらいたい、というシンプルな思いこそが、このイベントの出発点なのです。

 
とは言え、その素晴らしさを伝える手段がなぜライブなのか。ブログやツイッターではダメなのか。


その理由のひとつは、彼自身が極めて優れた音楽リスナーであるという点だ。

 
Spotifyで関さんが公開しているプレイリストを聴いてもらえばわかるのだけれども、3時間以上のボリュームがあるのに、すべてが名曲。誰が聴いても素晴らしいとしか言いようのないポップミュージックが並んでいる。

open.spotify.com

それもそのはずで、関さんはかつて田島貴男や木暮伸也も店員を勤め、現在もライターの松永良平氏が勤務しているというハイファイレコードストアの店員だったのだ。


渋谷系原理主義者」という彼の自称は伊達ではなく、行き当りばったりで音楽を聴きかじっているだけの私が、その桁違いの蓄積の中から生み出された音楽の魅力を文字にすることは到底不可能、と思っている。

これは実際にライブハウスで、関さんの膨大な脳内コレクションに裏打ちされた芳醇な歌を、皆さん自身のの耳で感じてもらうほかないのです。

  

そして最後に、なぜ今なのか?という点についても書いておきたいのだけれども、この問いに対する答えはとても簡単で、近年の関さんの活動が非常に素晴らしいものだから、ということに尽きる。


オリジナルアルバムの発表こそしばらくないものの、プロデュースを手がけた昨年の青野りえ、今年の広瀬愛菜

いずれのアルバムもアーティスト本人の魅力を引き出しつつ、上述したような関さん自身のキャリアや才能もさりげなく感じさせる見事な仕事ぶりで、私も思わず拙い文章でその感動を綴った。

dreamy-policeman.hatenablog.com

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やっぱり関さんは2018年に聴いてもらうべき音楽家だ、と思い至ったのです。

どうか今、この時を逃さないでほしいな、と思います。

 

  

というわけで、長くなりましたが、12月15日にハポンへ足を運んで頂ければ、きっと私の言っていることがわかってもらえると思います。

ぜひ遊びに来てください。

 

-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(日)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1

 

 

 

決して消えない光がある サニーデイ ・サービス『Christmas of Love』について

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サニーデイ・サービスから届いた、突然の、そして少し早いクリスマスプレゼント。

その名も「Christmas of Love」

 
日付が11月28日に変わる瞬間に配信されてからまだ約30時間くらいしか経っていないけれども、もう20回以上は聴いている。

そして最初に聴いた時からずっと、鳥肌が立ったままだ。

 
一聴して伝わるこの曲の特長。

それは何と言っても、平成最後の12月に山下達郎からクリスマスソングの王座を奪わんとするかのようなスケール感で鳴り響く、サニーデイ史上最大に開かれたメロディー、暖かいメッセージ、そしてエレクトロニカルパレードのようにドリーミーなアレンジ。

つまり、ポップソングとしての完璧さ。

この2年で何度同じことを思ったかわからないけど、なんでまだこんな瑞々しい歌がつくれるのか、と驚かずにはいられない。

 


そしてこの曲の持つ、もう一つの表情。

それはサニーデイ・サービスというバンド自身に訪れた、パーソナルな悲しみとその先の景色が描かれているということである。


「電話のベルが鳴って驚き 目覚める

  目覚ましの音だと知って またまどろむ

 いつからか僕は君のこと なぜだかずっと懐かしく思ってしまう」

 
今もまだ電話に緊張感を抱かなければならないほどの傷を負いながら、誰かのことを考えている誰かが、

 
「恋のような街角を もうそろそろ目覚めさせようと」決意し、「枯れ葉の季節の中 君をまた好きになる」と再生していくストーリー。

 
私のようにサニーデイに心を寄せる者ならば、ここに丸山晴茂の姿を見出さないわけにはいかないだろう。

 


特に最後の、「枯葉の季節の中~」というフレーズは、二年前の春の日に「君がいないことは君がいることだな」と歌った『桜Super Love」に対するアンサーのように思われ、ファンタジーとドキュメンタリーの境界をひた走るサニーデイ・サービスというバンドの業のようなものすら感じてしまう。

 


そして、

「紙切れが舞うように 

 冬の空飛んでいけば 二度と探せなくなる

 それがさよなら」

 
という永訣の直後に鳴らされる、嗚咽のようなギターソロ。

クリスマスソングとしての調和を守る音色と、それでも抑えられない昂りを感じさせるフレーズのコントラストが、決して消えることのない葛藤を表しているようで、何度聴いてもグッときてしまう。

 


だからこそ最後にたどり着く

 
「争いごとが終わり 星の名前は決まり 愛を分かろうとする 誰もが」

 
という希望と愛に満ちたフレーズが深く胸に刻み込まれると共に、街中のスピーカーからこの光のようなクリスマスソングが流れ出し、星になったあの人のところまで届く光景を想像してしまうのだ。

 

 

 
-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(日)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1

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11月某日の日記。スカート、金魚注意報、中村佳穂。

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11月某日

軽薄な音楽にイライラするけど、本物の渋さってやつにも尻込みする。

剥き出しの狂気に触れる勇気はないけど、無難なロックじゃ楽しくない。

山下達郎は好きだけど、竹内まりやは受けつけない。

 


このようにワタシという人間はとてもわがままな生き物で、心にはいくつもの不規則な穴が空いている。

そしてその穴にぴったりとはまるのが、スカートの音楽なのだ。

新曲『遠い春』を聴いて改めてそんなことを思っている。

 


「僕たちが歩き出すことに どれだけの意味があるのかな」という迷いから始まり、

「つつじの花が咲く頃までには 新しい服で 懐かしい街で 会いましょう」という繊細な決意で結ばれた歌詞。

 


この少しうつむきがちだけど、歩みは止めないよという一貫した世界観が、すごく私の目線にフィットするというか、寄り添ってくれている気がするのである。

もう少しエモい表現を使わせてもらえるならば、「お前は一人じゃないぜ」という澤部氏からのメッセージを(勝手に)受け取っているのだ。

 


11月某日

そんなわがままな心と体をひきずるようにして、長野県松本市を仕事で訪問。しゃべりすぎのタクシーの運転手さんのおかげで乗り損ねた電車の待ち時間にMARKING RECORDSへダッシュ。ずっと気になっていた金魚注意報のCD-Rを入手する。ココナッツディスクにおけるスカートや台風クラブを例に出すまでもなく、愛すべきレコード屋さんが愛を込めてプッシュするバンドは、なにか特別な匂いをまとっているものだが、この金魚注意報も例外ではなかった。

 


エバーグリーンと刹那が同居した繊細なメロディー。サイケを感じさせるくらいに甘く美しい空気感。フォーキーとか懐かしさとかそういう表面的なところじゃなく、本質的な部分でサニーデイ・サービスに通じるところがあるように思った。夢中になる予感がする。ライブが観てみたい。

 


そういえば俺はサニーデイがこんなに好きなのに、サニーデイに似ているバンドってほとんど聴いたことがない。興味が持てない。不思議な話である。

 

 

 

11月某日

歯が痛い。左奥歯の治療が終わらないうちに右側の親知らずがうずいてきた。業績がダメならせめて体調くらい良くなってもらいたいものだが、ストレスも歯に悪いんですよねーという歯医者さんの言葉が歯ぐきに重く響く。

しかしそんな生命力絶賛低迷中の私とは対照的に、生のエネルギーをこれでもかというくらいに発散しているのが、中村佳穂の新作『AINOU』である。

ポップミュージックのフィールドをギリギリいっぱいに使って鳴らされるバレアリックなサウンド。肉体性と創造性の限界に挑むダンスビートで右サイドを駆け上がったかと思えば、ゴスペルを思わせる巨大な歌心へ一気にサイドチェンジ。ダイナミックすぎる展開に腰を抜かした。

このアルバムとceroの『POLY LIFE,MULTI SOUL』が同じ年に出たということには、偶然を超えた意味があるような気がしてならない。

 

 

 

さてさて。

関美彦さんとさとうもかさんをお迎えしてお送りするSons of Nice Songs Vol.2。いよいよ開催まであと1カ月となりました。

名古屋にポップミュージックの新しい名場面が刻まれる時間になること間違いなし。

全力で、真剣に、必死にご予約受付中です!!

 


-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(土)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1

 

 

平成最後の大物ルーキー・さとうもかのライブを目撃した

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「自信が確信に変わりました」

 
イチローを三振に仕留めたヤング松坂大輔の名言よろしく、さとうもか with Time Travelersの名古屋初ライブも、彼女の若き才能が規格外の大きさであることを証明するものでした。

 
皆さんも早く観た方がいいですよ。


以上。

 


と終わらせてしまいたくなるほど圧巻のライブでした。

 

「Touch & Go」というクラブイベントのゲストとして登場した彼女たち。
四つ打ちのエレクトロビートで盛り上がるクラウドの前で演奏するのはやや分が悪いのでは?と心配しましたが、才能ある若者は平凡な年長者の杞憂を軽々と超えていくもの。

 
一曲目の『Old young』から、キュートなボーカルと高い演奏力で会場中のハートを引きつけたかと思えば、一転してパンクに駆け抜けていく『Weekend』で火の粉を散らす。この洒脱で凝った楽曲と熱い演奏、そして確信犯的に添えられたユーモアという組み合わせに、初期コレクターズやシンバルズに通じるモッド感を覚えてしまう。めちゃくちゃ不敵にかっこいいのである。

 
続いては、「もう夏は終わっちゃったけど」と言いながら披露された最新曲『Melt summer』。秋風吹く外の肌寒さを忘れさせ、強すぎる夏の日差しとジリジリと焦げるような恋心を連れ戻す。

この一曲ごとにみんなの心の中にある大切な記憶を喚起し、映画のような物語を感じさせる天賦の才こそ、さとうもかの真骨頂。aikoとかユーミンと並べて語られるべきものだと思います。

 
冒頭3曲でもう完全にハポンをロックオンした後は、ミュージカル調の未発表曲から、『最低な日曜日』『殺人鬼』といったキラーチューンまでをたたみかけるように演奏。その芳醇なバリエーションを生み出すソングライターとしての才に目が眩む。

中でもわたしのハートを強く掴んだのは終盤に披露された『ループ』と呼ばれていた未発表曲。初期達郎ばりのファンキーなカッティングとグルーヴを加速させていくスタイリッシュなメロディー。たびたび他のアーティストを例に出して申し訳ないですが、スカートの『静かな夜がいい』をライブで初めて聴いた時と同じ胸の高鳴りを感じました。この曲を流しながら、海沿いをドライブする自分の姿まで一気に見えてしまうような力強さ。


約40分という短い時間に、彼女のカラフルすぎる魅力を詰め込んだライブはあっという間に終了。

 
5月に観たライブでは、プロデューサーというより保護者のような入江陽のサポートを受ける頼りなげな姿と楽曲のハンパないクオリティのギャップに、これはいったい何者だ?と強いインパクトを受けたのですが、バンドと共に繰り広げたこの日のライブは、楽曲の持つリアリティはそのままに、会場ごと呑み込んでいくような迫力を感じました。

12月のSons of Nice Songs Vol.2ではソロで登場してくれるということで、また違った魅力を見せつけてくれるものと確信しております。

 
なお、もかさんは他にも何度か名古屋に来られる予定があるようなのでとにかくどこでもいいから絶対目撃してほしいのですが、伝説の天才シンガーソングライター・関美彦さんとのケミストリーを体験できるのはこの日だけ!ということも声を大にして申し上げたいと思います。

 


皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

 

-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(土)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1

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台風クラブ、GUIRO 、曽我部恵一 SOCIAL TOWER MARKETに行ってきました

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先週の土日、つまり10月13日、14日は愛知県地方はフリーフェスかぶり。

豊田市ではTOYOTA ROCK FESTIVALが、名古屋ではSocial Tower Marketが。

どちらも毎年すばらしい出演者と開放的な雰囲気で、とても楽しみにしているイベントなのです。

 
しかも我が家ときたら、土曜日は子供たちの学芸会、日曜日は長女の部活の大会ということで、本来なら両日とも涙を飲んで断念…というのが正しい親のあり方なんでしょう。

しかし台風クラブGUIRO曽我部恵一が出る日曜のソーシャルタワーだけは我慢できなかった。我慢できなかったんだよ俺たちは。というわけで、娘に(心の中で)土下座して(内緒で)テレビ塔へ。

 
トップバッターは台風クラブ

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「朝はホンマに苦手で…」とボヤきつつ繰り出される珠玉のロックンロールナンバーは、前回観たよりもその大きさ、気圧、風速ともに発達しており、朝から集まった老若男女を猛烈な勢力で吹き飛ばしていた。とにかく演奏が太い、音がいい、MCもちゃんとしてる!と、言うことなしのライブ。たまらず屋台に駆け寄りビールを買ってしまう。

しかし、台風とはその威力を増すほどに、中心にぽっかり空いた目の静けさもまた際立つもの。

ダンスフロアの片隅から、夏のから騒ぎを俯瞰して、そのむなしさを責め立てるような石塚淳の言葉が、俺の革ジャンを貫いていく。

「計画はすぐ濁っていく 欲しがった心は本当か

まともになっていく歪み 消えてった淡い面影に」

という『相棒』の歌詞が、とりわけ40歳の胸にしみた秋晴れの空でした。

  

続いて登場するのはGUIRO

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いや今ワタシ、「続いて登場するのはGUIRO 」としれっと書きましたけど、台風クラブGUIROというこの奇跡の投手リレー。ちょっと信じられません。

 
この日のGUIROは5人編成。ボーカル高倉一修、ベース厚海義朗、ギター牧野容也、ピアノ西尾賢、そしてドラムは不動のオリジナルメンバー松石ゲル…ではなくて光永渉。もちろん初めて観る編成である。

今年の夏仕様のGUIROにおける最大の見どころは、松石ゲルのドラムとシンセサイザー亀田暁彦のバチバチとしたせめぎ合いにあると思っていた。

その言いようのないスリルを手放して、新たな装いのGUIROが手に入れたもの。

それはまるでシルクのような滑らかさで、楽曲が本来持つ美しい世界観を再現する演奏力だったように思う。一曲目の『山猫』からラストの『アバウ』まで、身と心を歌の世界にゆったりと委ねてしまった。ceroの屋台骨を変幻自在のドラムで支える光永渉のスーパーテクニックは、高倉一修の歌に寄り添い、演奏の完成度を飛躍的に高めていたように思う。果たして今日の編成がパーマネントなものになるのかは知る由もないが、やはり片時も目を離すことができない有機体のようなバンド(という定義があてはまるかどうかもわからない)である。


ちなみに野外でGUIROを見るのは初めてだったので、10月とは思えぬ強い日差しにあの繊細そうな高倉さんが耐えられるのかしらと余計な心配をしておりましたが、むしろこれまでで最もリラックスしているように見受けられ、メンバーいじりも冴えわたっていた、ということを合わせて記録しておきます。

 


さて、大人の日曜日は忙しい。

いったん会場を離れ、名古屋市科学館へ移動。

浮世の付き合いで「大学共同利用機関シンポジウム」なるイベントを見学。

アルマ望遠鏡による宇宙探索、AIをつかった言語解析など、日本の最先端の研究成果を小田島等Tシャツを着て勉強させて頂きました。

ちゃんと基礎研究にも予算つけてよね!とパンダおじさんは主張しておきます。f:id:dreamy_policeman:20181018222443j:image

 


会場に戻り、トリの曽我部恵一に滑り込み。

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一曲目の『恋におちたら』から、アコギ一本で会場中の観客の耳と目と心を奪ってしまう圧倒的な歌唱力と珠玉の楽曲たち。

しかしこの日のライブには、こうした音楽という枠ではくくることのできない、「今・ここのリアル」そのものを強くぶつけられているような感覚があった。

秋の空に吸い込まれていく『キラキラ』も、「そっちはどうだ?うまくやってるかい?」と語りかけてくる『青春狂走曲』も、日曜日の夕方に聴く「満員電車は走る」「魔法のバスに乗って」の切実さも、まるで親しい友人からの手紙のように響き、演者と聴衆という役割分担をすっかり意味をなさないものにしていった。

 
そして歌というフィクションがリアルを乗り越えれば、偶然もまた必然を侵食する。

魂を吐き出すようなシャウトと、それによって枯れてしまった歌声。

晴茂君の不在に触れつつもつとめて明るくふるまっているようなMCとは対照的な『セツナ』の絶唱と切れてしまったアコギの弦。

 

こうしたアクシデントたちに、曽我部恵一サニーデイ ・サービスの現在が表れているように感じてしまうのは、考えすぎという名の私の悪癖であるのだけれども、ついそう思わせる全身芸術家感を曽我部恵一が背負っていることは、まぎれもない事実だと思うのです。

 

 
というわけで今年が最後かもしれないというSOCIAL TOWER MARKET。

思えば小田島等さんのライブペインティングにはじまり、ミツメ、ネバヤン、王舟などなど毎年、たくさんの刺激を頂きました。

またの開催を心より願っております。

 

さて、ソーシャルタワーにも負けないイベントになること間違いなしのイベントSons of Nice Songs Vol.2、ご予約お待ちしております! 

 

-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(土)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1



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Dreaming Day Vol.7に行ってきました。

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久々の更新です。

 
細田瑞樹さんという若きミュージシャンが主催、自ら出演しているイベント「Dreaming Day vol.7」に行ってきました。

この日でちょうどイベント開始から一周年とのことでしたが、1年で7回ということは、2ヶ月に一回以上のペースで開催ってことじゃないすか。いや頭が下がります…。

 


さて、イベントのトップバッターはその細田“ヤングライオン”瑞樹が弾き語りで登場。

若干26歳とは思えないメジャーセブンス系のコードを多用した色彩豊かな楽曲に、若者らしい骨太で熱を帯びたボーカルという組み合わせ。これは若き日の鈴木茂あるいは(スタカン時代の)ポール・ウェラーの遺伝子か。

これはきっとバンドでやったらもっと素晴らしいだろうな…と思っていたところに、この日のトリであるThree Sunshineの浅野紘子がフルートでゲスト参加。

その組み合わせが実に素晴らしく、たった1音が加わるだけで楽曲の持つ世界がパカーンと広がったようであった。

 


続いて登場はtroeppa。

名古屋インディーの実力者4人による新バンド。今日が3回目のライブとのことだったのだけれども、バンドとしての佇まいがすでにずるい。キーボードの鈴村まどかを右手に、ギター、ベース、スタンディングドラムの男三人が並んで立っている姿が一筋縄ではいかない音楽性を雄弁に語っているのである。

曲はおそらく4人それぞれが書いているようで、ボーカルも4人全員が担当。それぞれのキャラが立ちつつも、共通したある種のセンチメントとユーモアをまとっているように思えた。その多様な音楽性を一言で表すのは難しいのだけれども、私が思い出したのはceroのファーストアルバム。特にできたばかりと言いながら披露してくれた新曲が良かった。

 


そして3組目はSaToA from 東京。

2年前にココナッツディスク吉祥寺で彼女たちのCD-Rを入手して以来、ずっとライブを観たかったのだけれどもタイミングが合わず。ようやくのことで念願がかなったわけだけれども、その過剰な期待をまったく裏切られることのない素晴らしいライブでした。

 
最新作『スリーショット』では音源では渋谷系との親和性も高い、60 ~70’sのソウル、ソフトロックを咀嚼した美しいメロディとハーモニーが印象的なのだけれども、ライブはもっとスリーピースバンドとしてのヒリヒリした感じが前面に出てきていて、もうめちゃくちゃにカッコよかった。

前者のポップスバンドとしての表情と、後者のガレージバンドとしての表情。それが一曲の中で、とても有機的に現れたり消えたりする様が予測不可能で、とにかく目が離せないのですよ。

これはちょっとまた観なければいけないやつだ…!という感じです。

 


そしてトリをつとめるのは、磯たか子率いるThree Sunshine。7月のGUIROとの対バンで見たSweet Sunshineを母体にした、フルートの浅野紘子、ドラムの春日井直人との三人編成。

当然音の数は減るのだけれども、演奏と歌の説得力、存在感がとても強力なので、会場がその世界観でぐんぐんと満たされていく。特に名古屋のシーンに疎い私にとって、浅野紘子、春日井直人という二人のミュージシャンの演奏力はかなりの衝撃。頭上を通る電車の音も、心なしか優しくなっているような気がした次第。

ラストでは細田瑞樹が再び登場。バンドをバックにキメて大団円。よき時間でした。

 

 

 

さて、この日と同じ場所で同じくらいよき時間になると間違いなしのイベントはこちら!

ご予約絶賛受付中です。

ポップミュージックの伝説と未来が交錯するひととき。ぜひお見逃しなく!

 

-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(土)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1

 

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Sons of Nice Songs Vol.2を開催します!

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じゃーん!

 

「いい音楽を、いい場所、意義ある組み合わせで」をテーマにしたイベントSons of Nice Songs Vol.2の開催が決定いたしました!

 

前回はリー・ファンデさん(Lee&Small Mountains)と東郷清丸さんが激アツなライブを繰り広げてくださいましたが、今回も2018年の締めくくりにふさわしいお二人をお迎えします。

 

まずは関美彦さん!

これほどまでに甘く危険な香りを放つラブソングを歌うアーティストは他にいない!(断言)。アーバンメロウの王様です。

シンガーソングライターとして2000年代初頭から曽我部恵一プロデュースによる数々の名盤を発表していますが、近年はプロデューサーとしても青野りえ、広瀬愛菜等々の名作を立て続けに世に送り出しており、今まさに黄金期と言っても過言ではない活躍ぶり。すべてのポップミュージックラバーが目に焼き付けておかなければならないライブになることでしょう。

 

そしてもうお一人は、さとうもかさん!

大ベテランの関さんとは対照的に、2018年に現れた超新星です。5月のErectionというブロックパーティーで初めてライブを目撃。ファニーな歌声と日記を書き出したような歌詞、しかしそのメロディには風格すら漂うスタンダード感が…というコントラストにぶっ飛ばされてしまいました。今年のうちに目撃しておくべき特別な才能です。

 

今回の会場は名古屋におけるインディーミュージックの聖地・K.Dハポン。頭上を電車が走るあの空間で聴くお二人の歌を聴けると思うと、今から胸の高鳴りを抑えることができません。

 

また今回は、お子さんのいらっしゃる方でも気軽にお越し頂けるよう、昼からの開催、中学生以下は無料とさせて頂きました


ポップミュージックの伝説と希望、そして底知れなさを体験できる時間になると思います。ぜひお越しください。

 

ご予約・お問い合わせは

webサイト: https://reserva.be/dreamy1

メール:dreamycop2010@gmail.com

twitter : @dunkrock

までお願い致します!!!

 

-Sons of Nice Songs Vol.2-

日時:12/15(土)14:00開演

会場:K.Dハポン鶴舞

出演:関美彦、さとうもか

料金:前売2000円+1D(中学生以下無料)

予約web:https://reserva.be/dreamy1

 

-関美彦プロフィール-

1964東京世田谷生まれ。シンガーソングライターとして曽我部恵一をプロデュースに迎えた「Spielberg」「SEX,LOVE&SEA」の他5枚のアルバムがある。小説「Boy Meets Girl」は曽我部恵一のローズレコードのwebで公開中。ソングライター/プロデューサーとして楽曲提供は制服向上委員会、WAY WAVE等。プロデュース作品として青野りえ「PASTORAL」、広瀬愛菜「午後の時間割り」。

 

www.youtube.com

-さとうもかプロフィール-

岡山県出身在住のシンガーソングライター。1994年 6月生まれ。
初めてのピアノの発表会で弾いた「ガラスの靴」という曲の、最初の
シ・ド・ミの和音で音楽が好きになる。3歳からピアノを始め、ギター、サックス、合唱、声楽など様々な音楽に触れる。高校音楽科卒業後、音楽短期大学に入学し、ガットギターやピアノの弾き語りを本格的に始める。2015年12月にタワーレコードの Here,play pop!レーベルから初のミニアルバム、2018年3月に P-VINEからフルアルバムを全国リリース。キリン ''トロピカーナエッセンシャルズ'' Web CMの歌唱とナレーションを担当。

www.youtube.com